2015 Fiscal Year Research-status Report
不均一反応を利用した水の界面におけるイオン濃度分布の解明
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15K12188
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江波 進一 京都大学, 白眉センター, 准教授 (00589385)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホフマイスター効果 / イオン / 溶媒 / 界面 / 表面 / SFG / 質量分析法 / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
空気と水が交わる境界相(界面)ではヨウ化物イオンなどの特定のイオンが偏在している。この効果はSpecific ion effects(SIEs)として知られており、近年、大気エアロゾル表面や雲などの液滴表面、海水表面で起こる不均一反応に重要な寄与をしていることがわかってきた。しかし、どのようなイオンが、どれくらいの深さに、どれだけ多く偏在しているか、などについてはいまだによくわかっていない。新規質量分析手法、分解光レーザーと超高感度分光法キャビティーリングダウン分光法(CRDS)を組み合わせた新しい実験手法を用いてOH(g)とNaI(aq)の不均一反応を利用したSIEs研究を行う。本年度はこの新規質量分析法と分解光レーザーを用いた不均一光反応系の確立を行った。その結果、気相のOHラジカルと液相の成分の不均一反応で気液界面に生成する中間体、生成物を検出できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規質量分析法と分解光レーザーを用いた不均一光反応系を確立し、気相のOHラジカルと液相の成分の不均一反応によって気液界面に生成する中間体、生成物を検出できることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに超高感度分光法キャビティーリングダウン分光法(CRDS)を組み合わせてOH(g)とNaI(aq)の不均一反応を利用したSIEs研究を行う。OHラジカルはその反応性の高さからハロゲン化物イオンX- (X- = I-, Br-, Cl-)と拡散律速で反応する。気液界面におけるX-信号の減衰とX3-信号の生成を新規質量分析法で、また気相に放出されるX2分子をCRDSで同時に測定する。気液界面の最上部に存在するI-はすぐさまOHラジカルと反応し、その濃度が減少する。一方、Cl-はバルク中に多く存在するため、OHラジカルはそのような深い層にはほとんどたどり着かないためCl-は減少しないはずである。これは以下の競争反応が起こるためであるOH(interface, if) + X-(aq) → → X2 vs. 2 OH(if) → H2O2 この競争反応のキネティクスとOHの拡散係数から何nmの深さまでOHが到達し、その層でX-と反応するかを決定する予定である。
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Research Products
(6 results)