2015 Fiscal Year Research-status Report
水道水質基準評価方法を含む河川水中農薬のパッシブモニタリング評価方法の確立と適用
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15K12193
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀田 豊 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (60397081)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パッシブサンプリング / 農薬 / ネオニコチノイド / 水源 |
Outline of Annual Research Achievements |
水道水源における農薬の新しいモニタリング手法としてのパッシブサンプリング手法の適用可能性の評価を目的に、今年度はGC/MSで測定可能な既存農薬の水道水源における存在状況を4月から9月の約6か月間にわたり、グラブンサンプリングとパッシブサンプリングでモニタリングした。また、現在、生態系への影響が懸念されているネオニコチノイド系農薬のパッシブサンプリング手法の確立を行った。以下にそれぞれの結果の概要を示す。 ① GC/MSで測定可能な既存農薬モニタリングに対するパッシブサンプリングの有効性について 東京、埼玉、千葉の水理学的特性の異なる水源地4か所において、4月から9月の6ヵ月間、週に一回、グラブサンプリングを行った。また、月に一回のパッシブサンプリングも行った。その結果、一か月間の時間加重平均値が推定できるパッシブサンプリング結果は、グラブサンプリングの時間加重平均値とおおむね一致した。また、一部のデータでは、グラブサンプリングの時間加重平均値がパッシブサンプリングのそれよりも5倍程度大きかった。このようなケースは、モニタリング期間中に農薬の一時的な使用によるシグナル的な濃度変動があり、著しい高濃度値が、グラブサンプリングの時間加重平均値を過剰評価していることが推定された。以上の結果から、時間加重平均評価におけるパッシブサンプリングの有効性が確認できた。 ② ネオニコチノイド系農薬のパッシブサンプリング手法の確立 ネオニコチノイドを吸着するディスク状吸着材を検討し、最適な二種を決定した。さらに、ELISA手法を検出方法とした最適な抽出、分析手法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
困難ではあったが、複数の水源において長期間のグラブサンプリングとパッシブサンプリングの比較実証試験を実施できた。また、結果も期待通りのデータが得られた。 ネオニコチノイド系農薬のパッシブサンプリングについても、その基礎となるELISA法のためのディスク分析方法を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
GC/MSにより分析可能な従来の農薬については、パッシブサンプリングが検出可能なイベントの特性把握を行うことで、パッシブサンプリングの検出限界を把握する。この結果と平成27年度の実証試験結果を組み合わせ、最終的にパッシブサンプリングとグラブサンプリングの特性や評価方法について整理し、実用化を進める。 一方、ネオニコチノイド系農薬については、平成27年度確立したディスクを用いたELISA分析法をパッシブサンプリングに発展させるため、室内キャリブレーション試験を行う。さらに、実証試験を行い、実環境中のネオニコチノイド系農薬の存在実態の把握と生態リスク評価を行う。
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Research Products
(4 results)