2018 Fiscal Year Annual Research Report
Applying mathematical models that describe the effects of radiation on living organisms to radiation biology, radiation protection and treatment
Project/Area Number |
15K12204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真鍋 勇一郎 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50533668)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 低線量・低線量率放射線 / 突然変異 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
分割照射の定式化と応用を予定していたが、研究を進めるうちにまずは突然変異発生および多段階の突然変異発生によるがんが発生、がんによる個体死に至るまでの全体図を描くことの重要性を昨年度までに認識したので、引き続きそれらの研究を行った。一般に生体が放射線等の刺激を受け、膨大な数のDNAが損傷する。それらはほとんど修復されるが、修復しきれないものが残り、それが元と異なる(変異)細胞になる(変異細胞)。その後、変異が何度か起こるとがんの元になる。以上が一般的に認識されている全体像である。 まず、突然変異の発生について研究した。現在、1本鎖切断、2本鎖切断、塩基損傷については、吸収線量から活性酸素の発生量を計算し、活性酸素がDNAを損傷させる単純な計算モデルを構築し、計算を行い、文献値と概ね一致することを確認した。 次にがんが発生する段階の研究を行った。発生までの段階数が分かっているものはヒトの網膜芽細胞腫を説明するため、2段階論の微分方程式を立てて、計算したところ、概ね実験値と一致したが、日本の臨床データで解析を行うべく関係者と協議した。今後も協議を続けたい。 最後に放射線によって寿命が短縮する現象の解析を実施した。米アルゴンヌ研究所と日本の環境科学技術研究所の実験データを説明するモデルを昨年度に引き続き作成した。特に環境科学研究所ではマウスの体内に存在する平均のがんの個数を数える実験も行っており、がんの個数、マウスががんを持っていない確率、生存率を結びつける数理モデルを作成し、実験結果を再現出来ることを確認した。今後はデータの統計誤差も含めて更に検討を続けたい。今後、アルゴンヌのデータにも適用可能かどうかを確認したい。 その他、がん治療のスケジューリングの予備的な検討として分割照射によって誘発される突然変異がどのように変化するかのウェブアプリの作成を行った。今後の公開を目指す。
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Research Products
(13 results)