2016 Fiscal Year Research-status Report
アポトーシス細胞におけるクロマチンの細胞表層露出のメカニズム解明
Project/Area Number |
15K12210
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
岩淵 邦芳 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10232696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂谷 優実 金沢医科大学, 医学部, 助教 (70581057)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アポトーシス / 細胞生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
53BP1は、Tudor domainを介してDNA二重鎖切断(DSB)部位に出現するメチル化ヒストンH4(H4K20me2)と結合し、DSB部位に集積する。53BP1のTudor domainは、TIRRに覆われており、DSBが発生するとATMによる53BP1のリン酸化依存性にTIRRがTudor domainから離れTudor domainは露出する。一方、H4K20me2はJMJD2AまたはL3MBTL1に覆われているが、DSBが発生すると、ユビキチンリガーゼであるRNF8とRNF168依存性に、JMJD2Aは分解され、L3MBTL1はH4K20me2から離れる。 申請者は、アポトーシス細胞において53BP1がカスパーゼ依存性にTudor domain を含んだ60 kDaのC末断片になること、この53BP1C末断片がクロマチンと共に細胞表層へ露出することを見出した。アポトーシス細胞においても53BP1はTudor domain を介してヒストンH4と結合している可能性があるが、クロマチンの細胞表層露出は、RNF8、RNF168非依存性であった。即ち、アポトーシス細胞においては、DSB発生時とは異なる機序でJMJD2AおよびL3MBTL1がH4K20me2から離れることが考えられた。 細胞にアポトーシスを誘導すると、JMJD2Aはカスパーゼ依存性に分解された。一方、L3MBTL1は分解されず、蛋白量に変化は見られなかった。しかしアポトーシス刺激により、L3MBTL1は局在を核質から細胞質に変え、細胞質に粒状に集積することが明らかになった。さらにL3MBTL1は、細胞質の粒状部位でストレス顆粒タンパク質であるTIA-1と共局在することが分かった。以上より、L3MBTL1はアポトーシス刺激後に、何らかの機序でクロマチンから離れてストレス顆粒に格納されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
JMJD2AおよびL3MBTL1がアポトーシス細胞においてH4K20me2から離れる理由が明らかになったから。
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Strategy for Future Research Activity |
カスパーゼで切断されないJMJD2A、あるいはL3MBTL1のH4K20me2との結合ドメインだけ(この断片は、ストレス顆粒へ移動できないと予想している)を発現させた細胞では、アポトーシスに陥ってもH4K20me2がマスクされたままとなり、クロマチンの細胞表層露出が低下する可能性がある。これを確認する。
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Causes of Carryover |
研究補助員の人件費として使用予定であったが、在籍研究者でなんとか順調に研究が進行し、平成28年度においては研究補助員の雇用が必要なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費と物品費として使用する。
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Research Products
(5 results)