2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12215
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 景正 東海大学, 医学部, 講師 (00204397)
坂部 貢 東海大学, 医学部, 教授 (70162302)
加藤 明 東海大学, 創造科学技術研究機構, 准教授 (70546746)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シックハウス症候群 / 有機リン / 神経障害標的エステラーゼ / Transgenic mouse / 眼球運動 / NTE-DDVP / 高発現細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機リンは殺虫剤などの農薬や化学兵器としても利用されている化学物質である。我々はこれまでシックハウス 症候群や遅発性神経障害(OPIDN:Organophosphate-induced delayed neuropathy)と有機リンとの関係を調べるために、疾患との関連が予測される神経障害エステラーゼ(NTE: Neuropathy Target Esterase)をコードするヒトPNPLA6遺伝子導入マウスの作製と有機リンの鶏卵発生への影響に関する解析を進めてきた。本申請では本酵素の独自の高発現細胞(他のタンパク質にも応用可)を有機リン-NTE複合体の検出に用いると共に、複合体特異的な抗体の開発に挑戦し、遺伝子導入マウスと細高発現細胞を利用して、検出システムの確立、発症機構解析、診断法の開発を行う。有機リンの代表としては一般農薬のジクロルボス(DDVP)などを用いる。 今年度はNTEの同定にはほぼ成功したが、in vitroでDDVPと複合体を形成させた後にその修飾ペプチドを検出しようとするとそれらしいピークは検出されたが極めてノイズが多かった。293細胞を用いるとなかなかタンパク質が溶解しないため、大量発現を大腸菌で行うこととしたが、極めてこれが功を奏した。DDVP結合部位を含むペプチドのN末、C末にtagがそれぞれ1、3個配置するようT7promoter系で発現させ、affinity columnで精製後tagを切断した。意外にも2つの分子量を示すペプチドとなるため、この対応策を講じている。 一方、ヒトNTE発現マウスにおけるDDVPの影響はさしたるものがないが、ホルマリンを曝露させた場合はマウスそのものがホルマリン耐性で、眼球運動への影響も余り見られない。しかし、まだ例数は少ないが、多雨有情のマウスに比べ、海馬での錐体細胞の萎縮や小脳のPurkinje細胞の萎縮が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
tagを切断する段階で1種類のペプチドにならなかったが、NTEの大腸菌での発現は極めて高いものであり、かつsoluble factionに回収出来たことは今後の進展に大いに寄与する。マウスを用いた解析も順調に進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
tagを切断する段階で1種類のペプチドになるように改良を加え、大量のNTEペプチドをもとにまずはDDVP複合体の検出を試みる。純度があがっているのでノイズが少なくなっている可能性がある。マウスに関してはマウス自身が有機リン、ホルマリン耐性になっている可能性があるため、有機リン感受性の鳥類で眼球運動等を調べる。
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Causes of Carryover |
年度末の試薬等の購入希望物品の納期が次年度になると予想されたため、次年度使用として繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入等に充当する。
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