2016 Fiscal Year Research-status Report
黄砂の物理・化学・生物的諸特性とアレルギー性結膜炎の病態の関係解明
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15K12219
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西田 千春 福岡大学, 福岡から診る大気環境研究所, ポスト・ドクター (00572463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内尾 英一 福岡大学, 医学部, 教授 (70232840)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 黄砂 / 結膜炎 / 健康影響 / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
福岡市において、昨年度末(3月)から開始した大気エアロゾル粒子の粒径別濃度の測定とサンプリングを、本年度5月まで継続して行った。エアロゾル粒子の粒径別濃度の測定は、光学式粒子カウンターを用いて行い、調査期間を通じてエアロゾル粒子の粒径別濃度のデータを得た。また、粒子中化学成分(イオン成分、金属元素(全量)、可溶性金属元素)や浮遊微生物濃度の測定のためのサンプリングを計画通り実施した。サンプリングはインパクターサンプラーを用いて、エアロゾル粒子を粗大粒子(粒径2.5μm以上)と微小粒子(粒径2.5μm以下)に分級してテフロンフィルター上に採取した。健康調査は、本年度4月から5月までの期間に健常者3名に対して行い、調査対象者の涙液と洗眼液を数日ごとに11回採取した。また、自覚症状などでアレルギー性結膜炎が疑われた場合は、医師による診察を行い症状の記録も行った。 調査期間終了後、イオンクロマトグラフを用いて、粒子サンプル中のイオン成分の分析を行った。分析により調査期間中の大気エアロゾル粒子中のイオン成分(硫酸イオン、硝酸イオン、アンモニアイオン、ナトリウムイオンなど)の濃度について時系列データが得られた。また、粒子サンプル中の金属成分(全量)の分析をICP質量分析法によって行うため、前処理方法の検討を行い、十分な回収率が得られることを確かめた。さらにサンプル粒子中の可溶性金属元素の分析を行うため、抽出方法の検討も行った。来年度は、今年度検討した方法でサンプルの前処理や抽出を行い、サンプル中の金属成分(全量)と可溶性金属成分の分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、大気観測と健康調査を平成28年3月から5月の期間に実施した。採取されたサンプルの化学分析の一部項目は終了し、残りの項目の分析準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、大気エアロゾル粒子のサンプル中の金属成分の分析と涙液中サイトカインの分析も行う。さらに、結膜炎に関するデータと大気データと合わせて、黄砂のアレルギー性結膜炎に対する影響について検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度実施予定のICP質量分析器による大気エアロゾル粒子サンプルの分析が、マシンタイム等の問題により実施できなかったため、ICP質量分析に必要な消耗品などを購入しなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に実施できなかったICP質量分析器による大気エアロゾル粒子サンプルの分析を次年度に行うため、ICP質量分析に必要な消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)