2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12234
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
京藤 敏達 筑波大学, システム情報系, 教授 (80186345)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分級 / 固液混相流 / 傾斜板 |
Outline of Annual Research Achievements |
湿式分級を行う簡易で実用的な装置およびシステムの開発を目的とし、本年度は分級から分級後の粘土・シルトの沈降および圧密に関する応用実験、および、傾斜板による分級効果に関する基礎実験を行った。 前記応用実験では、単一槽内において、分級後の粘土・シルトの傾斜板による沈降および沈降後のフロックの圧密が可能であるかについて検討した。ここでは圧密は膜を通したサクションによって行い、生じた圧密層の回収についても実験を行った。結果的に、単一槽で沈降・圧密・回収が可能であることが判明した。分級後の粘土・シルトの分離に目途がついた為、分級に関する基礎実験を行った。 基礎実験では、傾斜角が水平から70度程度以上の時は沈降する土粒子が浮上混合されることにより強い乱流が発生すること、一方で傾斜角が50度程度以下の場合は傾斜板上に砂堆が発生し流路の閉塞が生じることが判明した。これらの現象は、工学的に重要であるばかりでなく、物理的にも斜面を遡上する固液混相流における特徴的な現象として興味深い。 さらに、上記の実験結果を踏まえて、積層傾斜板による分級実験を行った。傾斜板の傾斜角は水平から60度に設定した。実験では、土砂を連続的に投入し、分級が継続的に可能かどうかに着目した。初期の時点では分級は良好に持続したが、分級土砂の濃度の増加に伴って傾斜板から高濃度の土砂が流出することが明らかとなった。解決策としては、分級層内に滞留する粒径閾値よりも大きな土砂を分級層内から取り除くことが必要であり、分級層内に静穏域を設ける方法などを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、湿式分級を行う簡易で実用的な装置およびシステムの開発を目的としたため、分級・沈降・圧密・回収のすべてのプロセスを含む装置を作製し、ボトルネックとなるプロセスを見極めることが必要であった。結果的に、単一槽内における圧密と圧密層の剥離回収が可能であることが分かったことは、今後の研究を進めるうえで大きな成果であった。一方で、基礎的な研究を進める余裕が無かったことは、反省すべきことである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実験で観察された重要な物理現象を、ケース・スタディではなく、普遍的な物理現象としてとらえ、科学的な知見としてまとめる必要がある。さらに、土壌分級装置を改良し、効率の良い汚染土壌洗浄装置を提案したい。
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Research Products
(1 results)