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2015 Fiscal Year Research-status Report

マトリックス重合によるケラチン複合体の生成

Research Project

Project/Area Number 15K12241
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

梶山 幹夫  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40191978)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywordsケラチン複合体 / マトリックス重合 / 連鎖移動 / アクリル / ガラス転移温度
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、動物性生物資源である羊毛や羽毛が有効利用されていない理由を、シスチンによる架橋構造のため成形性がないことによるものと考え、架橋構造の開裂とともにケラチンマトリックス存在下にラジカル重合を行い、加工性を有するプラスチックスに変換することを目指した。 この変換を行う反応系を探索するために、まず、水に代表される活性水素を持つプロトン性極性溶媒、活性水素を持たない非プロトン性極性溶媒、カチオンとアニオンとに電離するイオン性溶媒の各溶媒系でスクリーニングを行った。 選択した溶媒中でケラチンを加熱しケラチンマトリックスの反応性を高めたところでアクリルをラジカル重合し、その連鎖移動あるいは停止反応によってアクリル樹脂にケラチンを組み込んだアクリル-ケラチン複合体(グラフト共重合体)を得た。 その結果、得られたアクリル樹脂成分のガラス転移温度が上昇することを新たに見出した。 アクリルと比べて極性の低いスチレンを用いた場合、溶媒によってはスチレンの重合が進行せず、また重合が進行した場合であっても、スチロール樹脂成分のガラス転移温度はポリスチレンのガラス転移温度と変らず、スチレンはケラチンと相互作用をせず分離していることが考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

水に代表される活性水素を持つプロトン性極性溶媒、活性水素を持たない非プロトン性極性溶媒、カチオンとアニオンとに電離するイオン性溶媒より、ケラチンをホモリシスにより溶解、あるいは溶解しないまでも活性化した状態でラジカル重合を行い、ケラチン複合体を均一な系で得られる場合、不均一な系で得られる場合、そもそも複合体が得られない場合の場合分けとその分析は予定通り進行しているといえる。 得られたケラチン複合体の性質を測定することにより複合構造の解析を行っているところ、アクリル樹脂をラジカル重合した複合体ではアクリル樹脂成分のガラス転移温度が上昇することが分った。 いかなる条件でケラチンと相互作用し熱的性質を改善するのかパラメータをより精査するために事業期間を1年延長するに至ったことは、単年度での終結を目指したことを考慮すると、若干の遅れが生じているといわざるを得ない。

Strategy for Future Research Activity

ケラチンをホモリシスにより溶解、あるいは溶解しないまでも活性化した状態でラジカル重合を行ったところ、アクリル樹脂をラジカル重合した複合体ではアクリル樹脂成分のガラス転移温度が上昇することが分った。 しかしながら、アクリル樹脂成分のガラス転移温度より上の温度で熱圧成形が可能にはならなかった。 本研究の目的である成形性を有する複合体を得るためには次に示す二つの方向があると考えられる。 一つ目は、2015年度に用いたアクリルより極性が高く、ケラチンとより強く相互作用することを期待できる単量体を用い、単量体より生成する樹脂成分とケラチンとを相溶させ、相溶系のガラス転移温度より上の温度での成型を行う、ケラチンと複合させる樹脂側を改良するもの。 二つ目は、ケラチンが持つ極性基を化学修飾あるいは除去し、ケラチン側の柔軟性、流動性を改良するもの。 前者では候補となる単量体が限られ、その単量体が必ずしもアクリルと同じ系で重合するとは限らないこと、および、そもそも高分子同士が相溶することは稀である事を考慮すると、残り一年の方策としては厳しい。 したがって後者の、ケラチンに前処理を加える、それに合わせて異なる重合開始剤・重合系を設計し、ケラチン複合体の調製方法を確立する。

Causes of Carryover

本研究において、ケラチンマトリックスを用いてアクリルを重合し、アクリル樹脂にケラチンを組み込んだ結果、アクリル樹脂のガラス転移温度が大きく上昇することを見出した。 マトリックス重合によりビニル系高分子がケラチンと強い相互作用を示すのかパラメータを整理し、ケラチン複合体の調製方法を確立するための実験・検証を行うべく、事業期間を1年延長するため、直接経費の一部を次年度使用額に充てた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

ケラチンが持つ極性基を化学修飾あるいは除去し、ケラチン側の柔軟性、流動性を改良する方策、すなわちケラチンに前処理を加え、それに合わせて異なる重合開始剤・重合系を設計し、ケラチン複合体の調製方法を確立する。 この実験を行うために必要な試薬・溶媒類を昨年度の試薬・溶媒等購入額と同程度購入するために使用する計画である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Preparation and Properties of Keratin-based Copolymer from Feather Keratin2016

    • Author(s)
      Sikai Chen and Mikio Kajiyama
    • Organizer
      Asian Conference on Adhesion 2016
    • Place of Presentation
      Tokyo Institute of Technology, Tokyo Japan
    • Year and Date
      2016-06-16 – 2016-06-18
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2017-01-06  

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