2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12244
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
北澤 君義 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (90143825)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | コールドリサイクル / 金属筐体 / 自己移植 / 摩擦圧接 / 温室効果ガス / エネルギー消費 / 品位低下 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,自動車ボディーパネル・家電筐体などの廃棄金属筐体のリサイクルが有する温室効果ガス大量排出,エネルギー大量消費,品位低下という3課題を自己移植コールドリサイクルという新手法により解決することを目的としている.すなわち,健全部から取り出した移植板を穴やキズなどの欠陥部に移植(摩擦圧接)して同一組成・同一板厚の金属板へ戻す自己移植コールドリサイクルを提案し,この新手法によりリサイクルの上記3課題の解決を目指している. 平成27年度は,まず,接合と同時に接合界面の酸化物を機械的に除去する新規高速摩擦圧接装置を試作した.試作機では,前工程として,デント(打痕),ネジ穴,スクラッチ(引っ掻き傷),錆などの欠陥部(悪性部位)をその周囲の健全部(良性部位)を含むサイズの丸穴形状で除去し,欠陥の無い健全な穴を有する薄板にした状態を被移植対象としている.この被移植対象の穴部へ,同一筐体の健全部から別途取り出された移植板を,高速摩擦圧接により埋め込み,接合する.このようにこのリサイクル技術は,外部加熱を一切用いない意味でコールドリサイクルの範疇に属する.次に,鋼板を対象として接合実験を行い,接合部の組織分析を行うとともに,引張り試験から接合部とその近傍を含む微小領域の延性を明らかにした.なお,申請者が別途開発した新しいひずみ測定法の適用により,接合界面とその近傍を含む微小領域のひずみ測定が初めて可能になった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は計画に従い次のとおり実施した.(1)接合と同時に接合界面の酸化物を機械的に除去する新規高速摩擦圧接装置を試作した.試作機では,前工程として,デント(打痕),ネジ穴などの欠陥部をその周囲の健全部を含むサイズの丸穴形状で除去し,欠陥の無い健全な穴を有する薄板にした状態を被移植対象としている.この被移植対象の穴部へ,同一筐体の健全部から別途取り出された移植板を,高速摩擦圧接により埋め込み,接合する.(2)鋼板を対象として接合実験を行い,接合部の組織分析を行うとともに,引張り試験から接合部とその近傍を含む微小領域の延性を明らかにした.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は次のとおり実施する.(1)銅板等の自己移植コールドリサイクルを成功させるための摩擦圧接条件,すなわち,酸化物除去条件と接合部が素板部と同じ延性を有する条件の実験的解明を行う.(2)銅板等の実験結果と昨年度の鋼板の実験結果をもとに,接合部から酸化物が除去されるメカニズムと接合部が素板部と同等の延性を発現するメカニズムに焦点を絞り,自己移植コールドリサイクルのメカニズムを解明する.
|