2015 Fiscal Year Research-status Report
富士山体から放出される火山ガス早期検知システムの開発
Project/Area Number |
15K12254
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大河内 博 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00241117)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 火山ガス / 微災・減災 / 火山噴火 / テレメーターシステム / μGas / 早期検知システム / リアルタイム |
Outline of Annual Research Achievements |
サブテーマ1(計測部の構築): 熊本大学・戸田教授と2015年5月に打ち合わせを行い,マイクロチェンネルスクラバー分析システム(μGAS)を製作を開始した.また,助教と卒研生を約1週間,熊本大学に派遣して,μGASの使用方法についてご指導いただいた.秋には検知システムが完成し,早稲田大学西早稲田キャンパスでH2Sをフルオレッセイン酢酸水銀(FMA)の蛍光消失により連続検知システムについて,検量線の作成および長期連続稼働実験を開始した.しかしながら,当初はベースラインが安定せず,その原因を解明するのに時間を要した.H2SのμGasシステムについては,富士山麓における通年観測に設置のめどが経った.H2Sのシステム開発に時間がとられ,SO2のμGasシステムは,導電率検出に問題が発覚し,完成にいたらなかった.2016年度の課題である.また,当初の計画になかったが,火山性土壌ガスとしてガス状水銀の観測も開始した.富士山太郎坊では,夏季に日本におけるガス状水銀の指針値を超えるほど高濃度であることを明らかにした.また,夏季に富士山測候所を活用し,火山ガスであるSO2の観測をフィターパック法により観測した.富士山頂では浅間山由来のS02の観測を行えることが分かった.
サブテーマ2(遠隔通信システムの構築): 三宅島の火山ガス観測などで定評のある(株)グリーンブルーの技術的支援を受けて遠隔通信システムを構築を検討した.当初,予算削減によりテレメータシステムの開発を断念したが,私立大学研究基盤研究事業「減災研究の国際展開のための災害研究基盤の形成」の研究助成を受けて,グリーンブルー株式会社からテレメーターシステムを購入し,富士山南東麓・太郎坊と早稲田大学西早稲田キャンパス間の通信に関して現地に赴き,数回にわたる調整を行った.富士山太郎坊へのテレメーターシステム設置は2016年度に行う予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サブテーマ1(計測部の構築): H2SガスのμGas検知システムの動作確認は行えたが,SO2ガスの検知システムの開発が遅れている.この技術は熊本大学・戸田教授が開発されたものであり,当研究室に技術的ノウハウがないことが遅れている要因の一つである.ただし,戸田教授とは綿密に連絡をとり,連携がうまくとれはじめ,当研究室の担当学生も装置の扱いに慣れてきたので今後はスピードアップが期待できる.
サブテーマ2(遠隔通信システムの構築): 当初予算額より削減されたためテレメーターシステムの導入が大きな課題となっていた.幸いなことに,学内予算でテレメーターシステムを導入することができた.グリーンブルーと連絡を密にとっているので,2016年度以降は順調に研究が進められると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
サブテーマ1(計測部の構築)およびサブテーマ2(遠隔通信システムの構築):H2SのμGasシステムを用いた富士山太郎坊における大気中H2Sの通年観測を開始する.ただし,富士山体からの放出が少ない可能性があることから,今後は土壌ガスの観測も視野に入れる.S02のμGasシステムは導電率検出に難があるため,当面は市販SO2計を富士山太郎坊に設置し,テレメーターシステムにより富士山太郎坊と早稲田大学西早稲田キャンパスの回線を開設し,連続モニタリングを開始する.
サブテーマ1およびサブテーマ2が軌道に乗り次第,サブテーマ3(早期検知システムの性能評価)およびサブテーマ4(フィールド観測)に移行する.
|
Causes of Carryover |
当初,μGas検知システムの開発に熊本大学・戸田教授に制作費100万円を計上していたが,戸田教授のご厚意により資材購入の実費のみとしていただくことができた.また,テレメーターシステムとして50万円を計上していたが,テレメーターシステムをグリーンブルーから購入するのには十分な金額ではなかった.そこで,学内予算で計上したところ150万円の予算措置が可能となり,機器備品を大幅に削減することができたため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
火山ガス観測のために消耗品がかかることから,消耗品として使用予定である.
|
Research Products
(1 results)