2017 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of nutritional effect of tuna longline discards on albatross population
Project/Area Number |
15K12258
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
井上 裕紀子 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 国際水産資源研究所, 任期付研究員 (40747507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 浩史 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 国際水産資源研究所, グループ長 (20371932) [Withdrawn]
新妻 靖章 名城大学, 農学部, 教授 (00387763)
石樋 由香 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 主任研究員 (10372046)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マグロはえ縄漁船 / コアホウドリ / 投棄物 / 混獲 / ホルモン分析 / 総コレステロール / 安定同位体比分析 / 安定同位体比混合モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
まぐろはえ縄漁船から排出される漁獲物残滓などの漁業関連餌が、海鳥の餌になっているケースは多く見受けられる。漁業活動は海鳥を混獲し死亡させるため、野生生物保護の観点から問題となる一方、外洋において、はえ縄漁船から得られる餌が栄養学的に海鳥へどのような影響を与えているのかは、不明である。外洋性海鳥であるコアホウドリについて、どのような個体が、どの程度漁船に依存し、栄養学的に正/負の影響を受けているかを検討した。 本年度は、2011年10月と2012年9月に北西太平洋上で、船の周囲に集まったコアホウドリの血液を用いて、飼育実験によって得られた換算式を用いて、血中総コレステロール値と全頭長から栄養状態(最後に餌を得てからの日数)を推定するとともに、血漿、血球及び羽根の窒素及び炭素安定同位体比分析を行った。 結果として、船の周囲に集まるコアホウドリの栄養状態(最後に餌を得てからの日数)は広くばらつき平均値はゼロに近く、栄養状態が良いとも悪いとも言えなかった。コアホウドリの血液・羽根の安定同位体比の分析より、直近の餌を示す血漿では栄養状態が良いほど窒素安定同位体比が高くなり、その傾向は1か月前の同位体比、越冬期の同位体比と、過去に遡るにつれて少なくなった。漁業関連餌は熱量や窒素安定同位体比が高い傾向にあった。これらの結果より、船の周囲に集まる海鳥の栄養状態にはバラツキがあったが、栄養状態の良い個体は、最近に漁業関連餌も捕食している可能性が考えられた。海鳥の保全と漁業の持続的の実現には、アホウドリ類に鉤に近づけないように漁業投棄餌の排出方法を徹底することが重要と考えられた。
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