2016 Fiscal Year Research-status Report
新幹線建設に伴う並行在来線経営分離の問題をめぐる政策決定と社会的合意形成の研究
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15K12273
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
市嶋 聡之 金沢大学, 人間社会環境研究科, 客員研究員 (40447678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 勝規 富山高等専門学校, 国際ビジネス学科, 准教授 (80311009)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 公共交通政策 / 交通地理学 / 地方自治 / 住民参加 / 合意形成 / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度に引き続き、新幹線の並行在来線問題に関して、主たる研究対象として北陸地域(石川・富山・新潟の各県)における調査を年間を通じて行い、さらに国内における比較事例(九州・東北)の現地調査を8月と3月に実施している。なお、28年度には海外調査も予定していたが、国内調査の遅れから29年度に延期した。 研究代表者の市嶋と研究分担者の岡本は、毎月一回程度、打ち合わせを実施し、調査旅行においては、事前調査と準備段階で役割分担し、現地では同行している。 8月22日~25日の期間には九州の並行在来線沿線自治体を訪問する現地調査を行った。熊本県の水俣市、芦北町、鹿児島県の出水市、阿久根市、佐賀県の鹿島市、太良町、長崎県諫早市の各自治体、および佐賀県庁、長崎県庁の担当者から聞き取り調査が主な内容である。特に、佐賀・長崎両県における調査では、新幹線(今後延伸予定の長崎ルート)開業後もJR九州が並行在来線を経営するに至った経緯を詳細に知ることができ、これまでの並行在来線経営分離とは異なる比較事例を得ることができた。 3月21日~24日には、東北(盛岡以北)の並行在来線沿線自治体での調査を実施した。昨年度にも同地域で現地調査を行っているが、8月に実施した九州調査と整合性が必要になったため、今回は、沿線自治体や第三セクター会社への訪問・聞き取りを主として調査した。岩手県二戸市、一戸町、北海道の北斗市、岩手県、青森県の各自治体、および第三セクターのいわて銀河鉄道、青い森鉄道の各担当者に聞き取り調査を行った。本調査により、東北・北海道における地域毎の相違が明らかになり、九州や北陸との比較に有用な事例が蓄積された。 この他にも、現地訪問の都合が付かなかった自治体に対しては、文書での調査協力を依頼し、質問事項への具体的回答を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度の東北調査について、再度の追加調査が必要となったこと、27年度3月に実施予定だった九州現地調査が、諸般の事情により28年度夏期に延期したことが主な理由である。現地調査において予想以上の成果が得られたことにより、研究の射程が拡大していったので、単純な遅れというわけではない。 遠隔地における本格的な現地調査は、共同研究者の勤務の都合上、まとまった期間を確保することが困難であり、研究の進捗が遅れると、数ヶ月単位で実施時期がずれ込んでいった。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査は、当初台湾に行く予定であったが、文献による予備調査によって、比較事例としては重要度が低いことが判明したので、台湾の現地調査は中止を決めた。スペイン・フランス・ドイツの現地調査は、夏期に実施する予定である。 国内調査は、主な対象地域である北陸各県沿線自治体で聞き取り調査や資料収集を進めていく。進捗状況によっては、現地調査も研究分担者と対象地域・自治体を分担して実施することも考えている。 最終年度なので、研究の総括のため、年度上半期には現地調査を終了させる予定でいる。
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Causes of Carryover |
現地調査の実施時期が数ヶ月単位でずれ込んでいったことによる。また、研究期間を一年延長するので、その他諸経費も最終年度で使用することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度には、海外現地調査を実施を予定しており、さらに国内でも追加現地調査を行う可能性があるので、旅費や謝金等はほぼ完全に執行することになる。また、報告会の開催や報告書の作成など、最終年度に必要な諸費用を執行するので、経費の用途については多少の変更は想定しているものの、予算に余りが生じることはないと考える。
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