2017 Fiscal Year Annual Research Report
Natural Resources and Conflict: Confict Mechanism and Corporate Self-regulation cased by Difficulty of Agreement
Project/Area Number |
15K12278
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
栗田 英幸 愛媛大学, 国際連携推進機構, 准教授 (60335883)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 資源の呪い / 民主化 / 自主規制 / 紛争 / 合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに整理したフィリピンでの理論仮説を基に、いくつかの特徴的な国を事例として、仮説での資源国の区分によって整理/分析を行い、資源開発/依存が民主制度を阻害することにより蓄積される合意形成への不満や経済発展阻害への不満と紛争との連関、そして、前者の不満解消への多国籍企業の自主規制の可能性を明らかにした。 ①仮説と同様の条件を有すると思われるボリビア、インドネシアでは、確かにフィリピンと同様に鉱業発展の影響による民主化の阻害/遅延が「資源の呪い」と紛争を悪化させる要因として確認された。また、自主規制を重んじる多国籍企業の自主規制が不完全ながらも現地企業や自主規制を軽視する多国籍企業と比して、民主的な手続きの点で阻害の少ない点が認められた。 ②「資源の呪い」脱却国としてのオーストラリア、南アフリカでは、資源産業の政策的支援が民主制度の阻害要因と化していることが確認できる一方で、①と比して発展/機能し、分離独立勢力も存在しないこと、社会保障や人権意識が発展し、人口密度が低いことから一人当たりの補償金も高額となることにより、①のような紛争への変化は見られない。 ③資源国化の途上にある国としてのモザンビーク、ミャンマーでは、やはり①と同様の社会構造の変化が、特に紛争の主要基盤の一要因である不満の蓄積とその紛争との連関において、①以上に顕著に見られることが確認された。さらに、自主規制を重んじる多国籍企業に関しても、不明瞭かつ不十分な法制度、政府人材の不足、地域住民の組織化経験の不足、地域性に関する知識の不足により、自主規制が機能する状況にないことが明らかになった。 以上、①)多国籍企業の自主規制が不十分ながらも民主主義阻害や不満の軽減に貢献する可能性、他方で、②「資源の呪い」としてのマクロ経済の悪化への貢献を別途考慮する必要性があることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)