2015 Fiscal Year Research-status Report
地球環境問題解決に向けた「善意のシステム化」の考究
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15K12284
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
半藤 逸樹 総合地球環境学研究所, 研究推進戦略センター, 特任准教授 (40446266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 優英 神戸大学, 経済経営研究所, 助教 (50624756)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 善意のシステム化 / 地球環境問題 / 価値観 / アプリ「環境観でつながる世界」 / 社会ネットワーク / 力学系 / 確率過程 / 逆問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
「善意のシステム化」のための力学系を構築し、社会ネットワークのパラメータの選定に試行錯誤してきた。その結果Motesharrei et al (2014)に加え、Watt et al (2016)のコンテンツが実用的であるという判断に至った。このコンテンツは、「人身御供」が社会階層の維持に役立つことを統計学的に示唆しているものの、力学系での振る舞いは検討されていないため、本研究での再検証も期待できる。一方、「善意のシステム化」の社会実装に先立って、誰もが参加できるステークホルダー会議「人類会議」を8月22日に開催した。この会議では、「価値観と未来」について議論を行い、多種多様なステークホルダーの価値判断を力学系において確率過程で表現することを着想でき、また適切なパラメータの推定においては逆問題を取り入れることを検討した。「善意」についての宗教間での際についてもテキストマイニングを進めた。
アプリ「環境観でつながる世界」のアップグレードに着手し、社会ネットワークの構造以外に、「地球環境問題」の時空間地図の実装を行った。このことにより、不特定多数のユーザが関心を示す事柄のトレーサビリティ機能を確保することができた。
SwedenのStockholm Resilience CentreのVictor Galaz准教授とは、「善意のシステム化」の原則に成り得る"The Biosphere Code"をアプリ「環境観でつながる世界」のチャンネルとして実装し、協力関係を結んだ。また、研究協力者の株式会社orb代表取締役仲津正朗の協力により、仮想通貨の社会的インパクトを図るため、仮想通貨に関する"orb"を新チャンネルとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
善意のシステム化のための方程式を探るに当たり、必要なシナリオを一定以上に整備することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「善意のシステム化」を表現する力学系の確立を目指す一方で、多種多様な価値観を確率過程として表現する系の開発を進める。宗教における「善意」についても、テキストマイニングを続け、統一見解を定量化する。「人類会議」は、継続的に行い、合意形成の困難さを参与観察するこことで、「善意のシステム化」の力学系の課題を浮き彫りにする。
2016年6月には日本人口知能学会での招待講演が決まっており、アプリ「環境観でつながる世界」のグリーンAI化を検討している。2016年熊本地震チャンネルを事例に、議論をすすめたい。
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Causes of Carryover |
語彙のルールについて、テキストマイニング用のソフトウェアをフリーウェアと自主開発しているもので代用したため。また、研究分担者の「wise self-interestの仏教経済倫理:ダライ・ラマ14世を中心に」が科研費若手研究Bに採択(研究課題/領域番号15K16624)されたことにより、本研究課題での旅費の支出が予定よりも抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
テキストマイニングの進捗によっては、市販のソフトウェアを購入する予定である。また、研究打ち合わせのための旅費およびステークホルダー会議での謝金として活用したい。
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