2015 Fiscal Year Research-status Report
分散型エネルギーシステム構築に向けたシステムデザイン方法論とその実践研究
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15K12290
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野間口 大 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90362657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 喜久雄 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10228992)
原 圭史郎 大阪大学, 環境イノベーションデザインセンター, 特任准教授(常勤) (30393036)
上須 道徳 大阪大学, 環境イノベーションデザインセンター, 特任准教授(常勤) (50448099)
木下 裕介 産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 研究員 (60617158)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | システムデザイン / System of Systems / 分散エネルギーシステム / リスクマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,分散エネルギーシステムが典型的な超システム(System of Systems; SoS)であることに着目し,その構築に向けたシステムデザイン方法論を確立することを目的とする.具体的には,(1)SoS に関連するリスク要因の把握とそのマネジメント手法の開発,(2)SoS に関連するステークホルダーの共創的な挙動のモデリングと最適計画手法の開発,(3)社会との協働と方法論へのフィードバックの3 つの研究課題を設定して進めている.平成27年度においては各課題について以下を行った.また,これらの成果を国際会議での講演2件により発表した. 課題(1)について,因果ループ図や機能モデリング手法を用いてSoSを構成する各種要因の因果関係を把握する手法を開発した.また,その評価を,設計工学分野で研究されているロバスト設計法のうちの格子点法の考え方を発展的に適用して行う手法を開発した.SoSは構成要素の自立性,分散性に起因して強い非線形性を持っており,このことがリスク評価の問題となっている.提案した手法ではこの問題を回避できることを確認した. 課題(2)について,マルチエージェントシミュレーション(MAS)を用いて共創的な挙動をモデリングし,その上で課題(1)で構築したロバスト設計法を用いて各種の計画案の評価を行い,最適解を得る手法を構築した. 課題(3)について,市民や地方自治体の政策担当者を交えたワークショップを実施し,エネルギー問題を含む地域の問題や各ステークホルダーの取り組みについての意見交換を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題(1) についての達成目標は,SoS に向けたシナリオ設計手法の開発(1-1) およびリスク評価手法の開発(1-2) であった.課題(1-1)については前述の通り達成した.課題(1-2)については,当初,こうしたアプローチに対する有望な手段の一つとして近年注目されているアーキテクチャオプション(AO) 理論をSoS のデザインに向けて発展的に活用する予定であった.研究を進めた結果,AO理論の前提となるリスクの数理モデルの構築が大きな問題であることが分かったため,格子点法によるロバスト設計手法の開発を優先して実施した.これにより当初の予定であったAO理論の活用がより円滑に実施できる見通しとなった. 課題(2)についての達成目標は,MAS に基づいたシステムモデリング手法の開発(2-1),および課題(1) で開発した手法をMAS の上で活用しながら,社会全体の費用,エネルギー供給量,各種リスクの大きさなどの多目的のもとでDE システムの最適計画を行うための手法の開発(2-2)であった.前述の通り,ロバスト設計手法とMASの活用により達成した. 課題(3)についての達成目標は,種々の社会要因が,DE システムの導入についての市民の意識に与える影響を詳細に調査するためのアンケート調査の実施(3-1),および,地域社会の政策担当者や電気事業者へのヒアリングを行うためのワークショップ(WS) の開催(3-2)であった.このうち課題(3-1)については,予算の都合上,研究代表者らの先行研究で実施していたアンケート調査の結果を用いることとした.調査内容は本研究の趣旨にも沿ったものであり,研究の実施には支障はない.課題(3-2)については1回のWSを開催し,次年度以降の実施に向けた見通しを立てることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては,平成27年度の成果に基づいて引き続き3つの研究課題の成果を発展させる. 具体的には,課題(1) について,平成27 年度に構築したSoS 向けのシナリオ設計手法およびリスク評価手法に基づいてAO 理論の活用を促進させ,課題(3) で収集した情報に基づいて,実際にDE システム構築に向けたシナリオとシステムデザイン計画の代替案を立案する.課題(2) について,課題(1)で立案した内容と,平成27 年度に構築したMAS とシステム最適デザイン手法に基づいて,実際にシステムデザインを実施する.課題(3) について,一般市民,政策担当者,電気事業者などのステークホルダーを交えたWS を3 回程度開催する.そこでは,課題(1),課題(2)の立案の内容を開示するとともに,それに対する意見を収集し,立案内容への反映を行う.同時に,課題(1) および課題(2) の各手法の洗練化を行う.
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Causes of Carryover |
交付決定額が申請額から減額されたため,使用計画の内容を組み替え,設備備品費の減額などを行った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ワークショップ開催費や成果発表を行うための経費などに充てる予定である.
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