2017 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental Study about Throne and it's Symbolism
Project/Area Number |
15K12294
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
服部 等作 広島市立大学, 芸術学部, 名誉教授 (50218509)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 玉座 / 座法 / 王権 / 椅子 / 象徴性 / 起居 / 胡床 / デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績:玉座の空間性、象徴性について,その歴史から形態的、図像的、基層文化的な内容の研究をすすめた。まず日本の天皇即位礼における高御座と古代イランのダレイオス王謁見式の玉座像例から玉座が備えるその象徴性の解題をすすめ成果をえた。 天皇が即位礼に用いる高御座は、八角の屋形内の御椅子に古くは平座(胡座)、近年では倚座の座法で儀式に用いる。ダレイオス王の玉座(アケメネス朝・ペルセポリス遺跡)は、謁見するため倚座の王を担ぐ玉座像である。天皇の玉座の性格は、1)古墳時代の埴輪人物座像に象徴性が見いだせ、大嘗祭の発展以降の唐文化吸収から高御座に発展する。2)ダリウス王玉座倚座像は、祝祭都市の中枢的「空間」に見下し何人も接しない天の神の地上の現人神が謁見する象徴性を表現する。その象徴性が今日の天皇の即位礼や西欧王室の戴冠式の原形を具備している。 本研究により1)玉座の象徴性は、天と通じる神が備えるべき象徴的な空間とその形態を表現する。そのため座すべき主人公が有形の人物でなく無人の神(現人神)で無形の姿であっても殷代の象形(甲骨)文字、シュメールの円筒印章の図像が神に対峙しその裁きを受ける姿の図像をもつ。2)古墳時代の殯は、胡坐と倚坐像の座像にそのイメージをとどめるが、古い大嘗祭の即位儀式に高御座に対応する天を敬い畏怖する指向が反映されている。2)ペルシャのダレイオス王玉座倚座像は、シュメール、エジプト文明の古式座像と同じく天を目指した、次第に王権・神権や王朝の発展に伴い、王の権力継承の道具として玉座、王杖、王冠の組合わせとなる。3)両玉座が表現する象徴性は、天の神が地上に降りてきたとする神話に呼応する内容であり、玉座の主が不在でも神性を伴った形態を有するだけでなく「天子の御座所」となる象徴的図像が出そろう表現をもち、ユーラシアの東と西の世界で発展していく象徴的表現である。
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Research Products
(9 results)