2015 Fiscal Year Research-status Report
空間図式の身体的原型の実地における空間体験にもとづく研究
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15K12295
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
篠崎 健一 日本大学, 生産工学部, 准教授 (80612613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 晴行 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50313341)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 空間図式 / 身体性 / 原型 / 経験 / 写真日記 / KJ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的を達成するために設定したふたつの具体的方法の,1)集落の経験の表現の構造化による空間図式の抽出をおこなった. 2)の民話や民話の言葉の表現の構造化による空間図式の取りだしは,民話を収集済みであるが,民話の分析に先立ち, 伊是名島におけるフィールド調査に基づく実感から,1)の延長に集落の経験を一層深めることで可能となる研究の展開が有効と判断し,これを進めている. 具体的には,伊是名集落に集中して(伊是名島には5つの集落がある)当初計画に加え,民家の実測調査や聞取り調査などの詳細な調査をおこない, また集落の祭りや行事に参加したり, 調査報告会を集落の公民館で催すなどすることにより, 集落の生活と空間の経験を深めることによって得られるものごとから, 研究の目的に沿った探究と考察を深めている. 詳細調査により民家の空間構成と生活の詳細を,物理的なものごとと言葉による表現として獲得し,これらの内容や関係の考察を通して, 原型的な空間図式を導き考察できるのではないかと考えている.このほかに, 伊是名および沖縄地方の民家や集落と生活に関する文献による調査研究を深め, 経験や考察の基盤を強化した. これらを通して,探究方法の探究を深めている. これまでの探究の成果は,学術研究口頭報告,学術研究論文報告,調査報告(調査ノート:B5版187ページ)にまとめた.調査報告は,伊是名村役場に進呈し行政にも活用されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 伊是名島の集落をフィールドとする探究は, ① 既往調査(坂本ら 1989)との比較研究は,坂本らの調査指標を整理し,全民家158戸の悉皆調査とそれに基づく19戸(その後26戸に増加)の詳細調査を行い,比較考察した. ② 空間の経験の表現の構造化から空間図式を抽出し考察する研究は, 写真日記を記し経験の表現の構造化から空間図式を抽出した. ③ 伊是名島の民話や民話の言葉による表現から空間図式を取りだし考察する研究は,先に研究実績の概要に記した通りである. この研究の展開は,具体的には, ①に記した民家19戸(その後26戸に増加)の詳細調査(家屋と付属屋など外部空間の実測調査と民家住民への生活と空間に関する聞取り調査)に基づいた, a)室の結びつき分析からみた民家の構成と住意識の関わりに関する研究と, b)聞取り調査から描き出される伊是名の民家の空間の特徴と空間図式に関する研究である.これらは同時に, 探究方法の探究の深化に寄与する.そして, ④これらすべての探究のプロセスを通して,探究方法の探究を進めている. 2 ゲオパトゥ村をフィールドとする探究は, 研究の基礎資料の整理(①,②)をおこない,③研究協力者の協力によりモンの民話を新たに5話翻訳した. さらに,2016年度に行う現地調査の準備を進め,研究協力者の講演を実施した. ①は,具体的には,過去の2回の現地調査で収集した聞取り調査(ビデオ映像)の日本語(文字起こし)であり, ②は,研究協力者から提供された資料(写真)の整理とデジタル化である.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)具体的な集落空間における探究は,1)伊是名島の集落をフィールドとする探究は,これまでの探究の内容と調査結果を整理し,日本建築学会論文報告集に論文投稿する.また,調査報告書(調査ノート)を改訂し,これまで行った調査内容(詳細調査26戸を含む)をすべて記した調査報告書を作成する.2)ゲオパトゥ村をフィールドとする探究は,過去の調査資料や研究協力者からの提供資料の整理を進め,現地調査を行い,調査結果をまとめ考察する.また,モンの民話の翻訳を進める.これらから得られるであろう成果を,学協会などに口頭発表また論文投稿する. 3)第3のフィールドにおける探究について,これまでの研究成果と研究の展開,今後の成果と知見に基づき,当初の研究目的を達成するために最適な方法について検討し,これを実施する. (2)探究方法の探究は,上に記した具体的な探究を通じて,探究を深め方法を洗練させる.
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Causes of Carryover |
2015年度3月に実行した沖縄伊是名集落調査研究出張旅費が未精算のため,形式的に次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額(繰り越し分)と次年度予算を合わせ,2015年度3月に実行した沖縄伊是名集落調査研究出張旅費を精算する.
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Research Products
(10 results)