2016 Fiscal Year Research-status Report
ゲル地区再開発における合意形成過程:居住地域への愛着機能の検討を中心として
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15K12319
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Research Institution | Nagoya Sangyo University |
Principal Investigator |
坂本 剛 名古屋産業大学, 環境情報学部, 准教授 (30387906)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 再開発 / 合意形成 / ゲル地区 / 地域への愛着 / 社会関係資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウランバートル市ゲル地区再開発の合意形成過程を検討することは、大気汚染やインフラの未整備などの都市問題を抱える同市にとって喫緊の実践的課題である。本研究はゲル地区の再開発をめぐる定量的な調査研究を通し、合意形成過程の検討を行うことである。平成28年度は、複数のゲル地区における質問紙調査のためのフィールド調整(夏期)と調査実施(秋―冬期)を計画していた。 再開発をめぐる現地事情収集を行う中で平成28年度より大規模なサブセンター計画(行政機能の分散計画)が進行していることが明らかとなったため、連携研究者とともに夏期の現地調査でその具体的な進行を担う開発コンサルタントと交渉し、調査への協力体制を整えた。しかし複数のサブセンター計画の指定エリアにおける行政の担当官が秋期に交替をしたことから、行政側との関係再構築が必要と判断し、調査実施を一時見合わせた。そのため、平成28年度の調査実施計画は質問票の設計と回収エリアの選定、サンプリング計画の策定にとどめ、バヤンホショーとセルベの2エリアにおいて720名を対象とした調査を平成29年5月に実施することで準備を進めた。 またゲル地区をフィールドにする国内外の研究者ネットワークについて、平成27年度に続いて、連携研究者とともにこれを構築・発展させ、平成28年4月に研究会を開催し、共同研究の一環として東北大学東北アジア研究センターの公募型共同研究予算を獲得した。同研究会主催で平成29年2月にシンポジウム「モンゴルの都市居住における住まいと近隣の空間構造」を東北大学にて開催し、科研費助成に基づく平成27年のガンダン寺周辺エリアの調査概要と結果について報告を行った。平成29年度は共著の出版を計画している。 さらに平成28年度はガンダン寺周辺エリア調査の結果の一部を基にした査読付き論文1本の審査が掲載決定に至ったほか、同調査に基づく学会発表1件を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
再開発をめぐる現地事情収集を行う中で平成28年度より大規模なサブセンター計画(行政機能の分散計画)が進行していることが明らかとなったため、連携研究者とともに夏期の現地調査でその具体的な進行を担う開発コンサルタントと交渉し、調査への協力体制を整えた。 当初、平成28年度中の調査実施を計画していたが、調査フィールドエリア行政の担当官が秋期に交替をしたことから、行政側との関係再構築が必要と判断し、調査実施を一時見合わせた。 しかし特定の2エリアにおける調査を平成29年5月に実施することで具体的な準備を進めることができた。 平成29年4月から5月にかけて調査実施に係る現地協力者との契約調整を終えた。5月中旬より720名を対象とした面接調査を走らせることができる。 投稿論文や学会発表等の点では、年度内に査読付き1本掲載決定と学会発表1本、シンポジウム1回の開催と発表の成果を上げることができた。また、科研費助成に基づく研究共同体制を基盤としてさらに外部の研究助成を獲得することができ、体制の構築・発展に明るい展望を得ることができた。 調査実施の点で当初の計画より遅れているものの、平成29年度5月の調査で遅れを取り戻す見通しが立ったため、やや程度の遅れと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年4月から5月にかけて調査実施に係る現地協力者との契約調整を終えた。この契約に基づいて、5月中旬より720名を対象とした面接調査を走らせる。5月下旬に調査を終え、データを集約したのち分析作業を進める。平成29年度夏期にサブセンター計画対象エリアにて計画進行の現地視察を行う。 これらの結果を平成29年度中に投稿論文1本にまとめるほか、12月に公開型シンポジウムでの発表、平成30年3月に国内学会での発表を行う。 平成28年度にシンポジウム開催に至った研究ネットワークの成果を、平成29年度は同じく東北大学でのシンポジウムの開催に加えて共著出版へ発展させる。出版は東北アジア研究センター叢書として平成29年度末の発刊を計画している。このため既に平成29年5月に国内外の6名で研究集会を行った。今後は7月(東京)と12月(仙台)に各担当原稿の進捗確認の研究集会を計画している。 また科研費助成に基づいた平成27年のガンダン寺周辺調査と平成29年度の調査結果を中心として、ゲル地区の再開発における課題をまとめた報告書を英語で作成し、現地協力者と現地開発コンサルタントに配布をする。
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Causes of Carryover |
平成28年度中の調査実施を計画していたが、調査フィールドエリア行政の担当官が秋期に交替をしたことから、行政側との関係再構築が必要と判断し、調査実施を一時見合わせた。そして平成29年5月に実施することで準備を進めてきた。 このため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年5月に特定の2エリアにおける調査が実施可能なように具体的な準備は整えた。 次年度使用額はこの調査費用と成果の公開のための費用として使用される。
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