2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12320
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
榎本 一郎 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部多摩テクノプラザ繊維・化学グループ, 主任研究員 (10462970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐木 由佑 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部多摩テクノプラザ繊維・化学グループ, 副主任研究員 (70587427)
武田 浩司 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部多摩テクノプラザ繊維・化学グループ, 副主任研究員 (20560163)
高橋 俊也 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部多摩テクノプラザ電子・機械グループ, 副主任研究員 (10614555)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 染色加工 / 表面処理 / 表面解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)イオン性官能基の導入:フッ素ガス処理によってアニオン性の官能基【スルホン基(-SO3H)】を超高分子量ポリエチレンに導入し、カチオン染料で染色して着色の濃淡から官能基導入の程度を簡易的に調べた。処理条件によって着色に濃淡差が生じ、処理条件が強くなるに従い着色も濃くなる傾向が見られた。 2)結合状態の解明:FT-IRの全反射測定法(ATR)で試料表面に生成する官能基を調べたところ、使用したフッ素ガスに由来するスペクトルと酸化物及び硫黄生成物のスペクトルが観察できた。染色試験同様、処理条件が強くなるに従い特定のスペクトルが大きくなる傾向が見られた。さらに詳細にX線光電子分光分析(XPS)により試料最表面に生成する官能基を調べたところ、傾向はFT-IRの測定結果と同様であるが、285eVのC1s炭素スペクトルは複雑な形状を取らず、カルボニルおよびカルボキシと見られるピークのみであった。また、163eVのS2P硫黄スペクトルは処理条件を強くしてもピークの増加があまり見られなかったことから、飽和状態が存在すると見られる。この原因として、使用するガスが試料の内部にまで拡散できずに表面部分のみに留まると想定している。結合状態をより解明するため、19Fおよび13C固体NMRにより測定を行ったが、比較的処理条件の弱いガス処理の試料ではスペクトルを観察できるもの、処理条件が強くなるに従いブロードのスペクトルが出現して解析に必要なスペクトルが得られなかった。今後この原因を究明し、詳細な結合状態の解明を進めていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では繊維断面の官能基の分布を化学修飾したカンチレバーを使い原子間力顕微鏡でマッピングすることになっていたが、試料の作成、特に超高分子量ポリエチレン繊維の切断が困難なため、計画がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に基づき引き続き結合状態の解明を進める。特に固体NMRによる解析で官能基と試料との結合状態の解明を進める。また、原子間力顕微鏡による繊維断面の官能基のマッピングに加えて、XPSのイオンクラスターによる深さ方向の官能基の分布を調べる計画である。
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Causes of Carryover |
予定していた旅費で、回数が減じたため残金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の旅費及び消耗品に充てる計画である。
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