2015 Fiscal Year Research-status Report
「微細構造-咀嚼時の破断挙動-呈味性」の相関を利用した減塩食品の創製
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15K12321
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
三浦 靖 岩手大学, 農学部, 教授 (50261459)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微細構造 / 破断挙動 / 呈味性 / 固体食品 / 塩味 / 減塩 / 理化学的特性 / 官能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの減塩食品は,単なる食塩配合量の低減,食塩代替素材の配合,多成分による塩味の増強などで対応してきた。本研究では,食品の「微細構造-咀嚼時の破断挙動-呈味性」の関連性を明らかにして,減塩しても適度な塩味を有する加工食品を創製することを目的にした。平成27年度には,固体食品の「微細構造-咀嚼時の破断挙動-呈味性」の関連性を明らかにするための評価系の確立を試みた。試料にする固体モデル食品として,配合が単純であり,得られた知見の汎用性を期待してスコーンにした。多糖添加によって変化させた固体膨化モデル食品の泡沫構造が塩味の知覚に及ぼす影響を明らかにすることを試みた。 1.固体膨化モデル食品の理化学的特性の評価:固体膨化モデル食品内相の水分活性,破断特性,気孔の数,フェレ径およびラフネス,気泡径分布を多糖添加により有意に変化させることができた。 2.固体膨化モデル食品の塩味の官能評価:アカモク粉体添加試料やグルコマンナン添加試料は塩味がやや強かったものの,試料間に有意差は見られなかった。多糖を添加することによって固体膨化モデル食品の泡沫構造を変化させたが,これが塩味の強さに有意に影響するほどの変化ではなかったと考えられる。 3.固体膨化モデル食品の理化学的特性と塩味の官能評価値との相関:柔らかい試料は塩味が強く知覚され,咀嚼によって変形しやすい試料は塩味を強く感じると考えられる。これは,食品が脆かったり,柔らかかったりすると食品からのナトリウムイオンの放出量が大きくなるためであると推察された。さらに,咀嚼によって変形しやすい食品は,唾液と混和しやすい,舌との接触面積が大きくなりやすいということも塩味の知覚の増加に影響していると考えられる。小型気泡の体積分率が大きい試料は塩味が強く知覚され,気泡の大きさ分布が幅広いことが塩味の知覚に大きく影響を及ぼしていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加工食品の製造に対して悪影響を及ぼさない程度に食塩の配合量を削減しても,適度な塩味を呈する加工食品を創製するために,平成27年度には,固体食品の「微細構造-咀嚼時の破断挙動-呈味性」の関連性を明らかにするための評価系を確立することを目的にした。試料にする固体モデル食品として,配合が単純であり,得られた知見の汎用性を期待してスコーンにした。多糖添加によって変化させた固体膨化モデル食品の泡沫構造が塩味の知覚に及ぼす影響を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の検討では,多糖を添加することによって固体膨化モデル食品の理化学的特性を変化させたが,これが塩味の強さに有意に影響するほどの変化ではなかった。この問題を解決するために,より多くの多糖を添加することも考えられるが,実際の製品に適用できなくなる可能性が大きく,現実的ではない。したがって,平成28年度には物質を添加せずに,固体食品の相構造を変化させて塩味の知覚に及ぼす影響を検討する必要があることが分かった。そこで,食塩濃度が異なる生地を層状に重ねることにより,食品中の食塩の空間的分布を不均質にし,塩味の知覚に及ぼす影響を検討することにした。また,官能検査パネルを訓練し,厳格に選定することにより,官能評価の精度を上げることが重要であることも分かった。
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