Search for animal-fat specific palatable factor - regarding cholesterol, as a candidate

2017 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15K12331
• Research Institution: National Agriculture and Food Research Organization
• Principal Investigator: 佐々木 啓介 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, ユニット長 (20343981)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 本山 三知代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (20414683) [Withdrawn] ; 中島 郁世 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60355063) ; 大江 美香 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (90391383)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2018-03-31
• Keywords: コレステロール / 油脂 / 嗜好性 / 匂い / 揮発成分

Outline of Annual Research Achievements

キャノーラ油にコレステロールを溶解させ加熱させた場合に生じる揮発成分は、コレステロールを含まないキャノーラ油におけるものと比較して異なることが示され、前年度までにヒトによる官能評価で見いだされたコレステロール含有キャノーラ油の匂いの識別性や、マウスにおけるコレステロールを含んだキャノーラ油エマルジョンの忌避の原因が裏付けられた。しかし、純粋なトリオレインオイルにコレステロールを溶解させ加熱させた場合に生じる揮発成分は、コレステロールを含まない純粋なトリオレインオイルにおけるものと違いはみとめられなかった。このことから、コレステロールは加熱による揮発成分の発生を通じて油脂の官能特性に影響を及ぼすが、その影響は油脂の脂肪酸組成やトリアシルグリセロール以外に含まれる夾雑物によって異なってくるものと推察された。
研究全体を通じた成果として、コレステロールが油脂の嗜好性に影響を及ぼすかどうかについては、マウスを用いた実験結果からは、吸収後効果を通じた嗜好性には寄与しておらず、主として味もしくは匂いを通じて嗜好性に影響をおよぼしていることが示唆された。これはヒトを用いた分析型官能評価においてもコレステロール添加が油脂の匂いを増強することが示されたことからも裏付けられた。また、匂いに寄与する揮発成分は油脂とコレステロールの加熱による反応で生じている可能性や、その反応は油脂に含まれる夾雑物とコレステロールの間で起きている可能性が示された。さらに、コレステロール関連成分であるコレステロール脂肪酸エステルは、マウスを用いた実験において、油脂の嗜好性に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆する結果を得たが、詳細な影響の解明には至らなかった。