2016 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者のビタミンC欠乏がアルコール嗜好・依存性と認知機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
15K12335
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松田 美和子 (小泉美和子) 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (30373301)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルコール嗜好 / リッキング / 二瓶選択法 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルコールに対する好みはヒトの場合もげっ歯類も遺伝的に異なることが知られている。アルコール嗜好に関する研究でよく使われるマウスはアルコールを好みよく飲むとされているC57BL6Jマウスである。本研究では、ヒトと同様にアルコール嗜好性のばらつきが大きい(もしくは嫌悪性を示す)とされているC57BL6Nマウスを用い、吸収による影響を含む長時間にわたるアルコール嗜好性を二瓶選択法により観察し、post-ingeston効果を排除した短時間スケールでのアルコール嗜好性をリッキング行動観察により判定した。 6ヶ月齢のC57BL6N雄マウスにエタノール溶液及び水の二瓶を慢性的に自由摂取させ、1週間毎にエタノール濃度を上げるEthanol Ramp法を用い、週毎のエタノール嗜好性(二瓶選択率)を測定したところ、20~90%と大きなばらつきを示した。吸収後の生理的影響を受けない2分間におけるリッキング(舐める回数)を測定したところ、水だけを慢性的に飲んだ対照群に比べ、エタノール慢性摂取群はエタノールのリッキング数が多かった。数日~数週間にわたるアルコール嗜好性は吸収・分解・代謝の影響を受けるため個体差が生じやすいが、摂取した瞬間から数分間におけるアルコール嗜好性はその味に対する親しみ(慣れ)と好き嫌いに直結することが示唆された。断酒後に生じる衝動的嗜好性を判定する上でもリッキング行動観察は有効と思われる。 マイクロダイアリシスにより脳内報酬系ドーパミン放出を観察したところ、アルコール嗜好が高かった個体のドーパミン放出量が低く耐性形成が示唆された。 ビタミンC生合成不全マウス(SMP30/GNLノックアウトマウス)雄10週齢及び16週齢を用いたところ、ビタミンCを欠乏するとアルコール嗜好(二瓶選択率)が亢進する可能性が示唆された。当研究課題を中断するため高年期の検討は実施できなかった。
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