2015 Fiscal Year Research-status Report
新生児の免疫機能発達に関与する乳汁中免疫情報伝達物質の探索とそのメカニズムの解明
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15K12336
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
茶山 和敏 静岡大学, 農学部, 准教授 (30260582)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CCL25 / CCL28 / 母乳 / 免疫細胞 / 脾臓 / 胸腺 / 腸管免疫 / 新生児 |
Outline of Annual Research Achievements |
母乳中のCCL25は以前の研究で確認されていたが、平成27年度の研究として、CCL25とその機能性が類似しているCCL28にターゲットを絞って、その母乳中の存在の有無と含有量およびその新生児に対する生理学的機能性の検討を行った。そして、CCL28についてもその母乳中の存在が詳細に確認された。そして、CCL28については、母乳中にCCL25よりも量的に多く存在していること、初乳および常乳のどちらにも同じ程度の量が含まれていることが明らかとなった。現在、CCL28添加人工乳を用いたマウス新生仔の人工哺育実験を進めており、まだ途中ではあるが、CCL25と同様に免疫機能の発達促進作用を有する可能性が示唆される結果が得られている。CCL25については、その生理学的機能性を詳細に検討した結果、成長及び免疫器官とその機能に対して促進的に働いていること、特に、脾臓および胸腺の免疫細胞の数がCCL25投与群で有意に高く、免疫機能の促進作用のメカニズムについては、胸腺での免疫細胞の誘引及び分化促進、さらに、それによる脾臓やリンパ節での免疫細胞の増加とそれによる腸管免疫の発達促進が関与している可能性が平成27年度の研究によって明らかとなった。また、CCL25とCCL28のノックアウトマウスを作製しており、間もなく、これらを用いた新たな実験が始まる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究として、CCL25とその機能性が類似しているCCL28にターゲットを絞って、検討を行った。その結果、CCL28についてもその母乳中の存在が詳細に確認された。そして、CCL28については、母乳中にCCL25よりも量的に多く存在していること、初乳および常乳のどちらにも同じ程度の量が含まれていることが明らかとなった。現在、CCL28添加人工乳を用いたマウス新生仔の人工哺育実験を進めており、まだ途中ではあるが、CCL25と同様に免疫機能の発達促進作用を有する可能性が示唆される結果が得られている。また、CCL25とCCL28のノックアウトマウスを作製しており、間もなく、これらを用いた新たな実験が始まる予定であることから、母乳中CCL28の新生児に対する機能性については次年度前半にはその機能性が解明される予定であり、本研究の第一段階としては順調に研究が推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
母乳中のCCL25およびCCL28についてはそれらの母乳中での存在が確認され、CCL25についてはその生理学的機能性が詳細に確認された。現在、CCL28添加人工乳を用いたマウス新生仔の人工哺育実験が継続されており、今年度中にはそのデータがまとまる予定である。また、CCL25とCCL28のノックアウトマウスを作製していることから、両物質のみが母乳中で欠損している場合のマウス新生児の成長及び免疫機能の発達への影響も詳細に調べる予定である。また、過去の論文で、発展途上国の新生児の胸腺の発達が先進国の新生児よりもその発達が悪いことが明らかになっており、その原因としてサイトカインの一つであるIL-7が関与している可能性が述べられている。そのため、IL-7の母乳中の存在および定量、さらには新生児に対する母乳中IL-7の生理学的機能性をマウス新生仔の人工哺育法を用いて検討する予定である。
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