2017 Fiscal Year Research-status Report
カイロミクロン形成制御による脂質および脂溶性薬物の小腸吸収コントロール
Project/Area Number |
15K12337
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森田 真也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (20449870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 義人 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (40736980)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
食事由来ならびに胆汁由来のリン脂質は、小腸管腔内で胆汁酸とミセルを形成し、ホスホリパーゼによって脂肪酸とリゾリン脂質に分解される。リポタンパク質の一種であるカイロミクロンは、小腸上皮細胞に吸収されたトリアシルグリセロールやリン脂質ならびにコレステロールから構成され、表面にアポリポタンパクが結合した直径数百ナノメートルの脂質粒子である。このカイロミクロンの形成メカニズムの分子レベルでの解明はほとんど進んでいない。小腸管腔内の脂肪酸は、小腸上皮細胞に吸収された後、細胞内でリン脂質やトリアシルグリセロールあるいはコレステロールエステルに組み込まれ、カイロミクロンの構成成分としてリンパへと分泌される。また、リゾリン脂質も吸収された後、小腸上皮細胞内でリン脂質に再合成され、カイロミクロン表面や分泌小胞を形成する。これらのことから、胆汁由来のリン脂質は、小腸管腔内での分解と小腸上皮細胞への吸収を通じて、カイロミクロンの形成ならびに分泌の調節に関わる。本年度は、培養細胞ならびにマウスを用い、リン脂質の胆汁排出調節について検討を行った。その結果、肝細胞の毛細胆管膜表面に存在するトランスポーターABCB4のリン脂質排出を胆汁酸が促進していることを見出した。そして、リン脂質との混合ミセル形成をしやすいグリシン抱合型の胆汁酸が、リン脂質の胆汁排出を強く促進することを明らかにした。これらのことから、胆汁酸は、小腸上皮細胞でのカイロミクロン形成において重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、本研究の第一到達目標であったトリアシルグリセロール高感度定量法の開発に成功している。そして、本年度は、カイロミクロン形成における胆汁酸の新たな役割について検討することができた。しかし、カイロミクロン形成のメカニズムについて、分子レベルでの検討をさらに進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞を用い、カイロミクロン分泌の制御メカニズムについて検討する。さらに、カイロミクロン分泌が脂溶性薬物吸収に与える影響についても調べる。
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Causes of Carryover |
(理由)カイロミクロン分泌の制御メカニズムについてより詳細に検討し、その結果を再現性のある確実なものとするため。 (使用計画)主に、実験試薬や実験器具の購入のための物品費として使用する。
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