2015 Fiscal Year Research-status Report
ガレクチン9分泌誘導を有した食品因子による新規アレルギー抑制
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15K12339
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 雅史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00212233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 堂史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90362764)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フコイダン / 受動皮膚アナフラキシー / 抗アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ型アレルギーのインビボモデルとしてよく使われている受動皮膚アナフラキシー(passive cutaneous anaphylaxis:PCA)反応試験を用いてF-フコイダンのアレルギー抑制効果を検討している。F-フコイダンを4日間経口投与した結果、200 µg/日以上の投与量で耳介の浮腫が抑制された。またこの抑制効果は、F-フコイダンの経口投与によってのみ認められ、腹腔内投与では確認できなかった。これらのことからF-フコイダンが抗アレルギー効果を発揮するためには腸管を介することが必要であることを明らかにした。フコイダンの抗アレルギー作用が肥満細胞に直接影響しているのかを確かめるために、卵白アルブミン(OVA)を投与されたOVA感作マウスを用いて、抗アレルギー効果を検討した。OVAは実験的アレルギー抗原としてよく用いられており、抗原感作を行うことでアレルギーを誘発させることができる。このモデルマウスにF-フコイダンを経口投与した結果、OVA投与により増加した血中IgE、IgG1量や典型的なTh1/Th2サイトカインであるIFN-γ/IL-4産生量においても、変化はみられなかった。このことから、マコンブ由来F-フコイダンは従来からフコイダンに関して報告されて来た免疫調節作用を有していないことも明らかにした。このことから、マコンブ由来のF-フコイダンは、抗原提示細胞からのTh0細胞からTh2型への分化を抑制しているのではなく、IgEと肥満細胞の結合あるいはマストセルの脱顆粒を抑制している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
F-フコイダンに抗アレルギー効果があること、またその抑制段階がI型アレルギー発症の後期に作用していることを明らかにすることができた。一方で、インビトロ系の構築が完了していないので、進捗状況としてはおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
F-フコイダンに抗アレルギー効果があることが解ったので、F-フコイダンを認識する受容体をインビトロ系で、作用機序をインビボ系で明らかにするとともに、食品因子としての有用性を検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
本実験インビトロ系に予定していたT84細胞と肥満細胞との共培養系構築が思ったほど進まなかった分、当該助成金が生じてしまった。またインビボ系では、作用機序を検討する段階まで到達することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
構築できなかった共培養系を再検討するため、既に構築してきたCaco-2/RBL-2H3の特性をもう一度検証し直して、Caco-2細胞とT84細胞の違いを明確にし、再度構築を目指す。また、インビボ実験において抗アレルギー機構が認められているので、この系を用いて作用機序を明らかにする予定である。
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Research Products
(2 results)