2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K12349
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
千葉 卓哉 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40336152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川 功 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70187475)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 老化 / インスリンシグナル / 遺伝子改変動物 / 代謝 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリン/インスリン様成長因子-Iおよびレプチンシグナルは、加齢性疾患の発症に深く関与していることが示唆されている。それらの疾患に至るシグナル伝達系の解明は、健康長寿社会を実現する上で重要な研究課題である。我々は、これらのシグナルに関わる新規の代謝調節分子WD repeat protein 6 (WDR6)を単離した。WDR6はタンパク質間の相互作用に重要なWDモチーフを複数持つタンパク質であり、インスリンおよびレプチンシグナルとの関連が示唆されている。 本研究では、WDR6が糖・脂質代謝の制御、DNA損傷応答の活性化による発ガン抑制、酸化ストレス耐性制御などに関与していることを明らかにするために遺伝子改変動物を作製して研究を行った。本年度はCre-loxPシステムによって作製した全身性ノックアウト(KO)マウスと、タモキシフェン誘導性脳特異的WDR6 KOマウスの開発を実施した。 作製した全身性KOマウスをもちいて、インスリン負荷試験と糖負荷試験を行い、インスリンシグナル系の変化を解析した。その結果、WDR6遺伝子の欠損によってインスリン感受性が変化している可能性が示唆された。次に、長寿命を持つ動物は酸化ストレスに対する耐性を有していることが数多く報告されていることから、WDR6遺伝子欠損マウスの酸化ストレス耐性を、3-nitropropionic acidを投与することによって解析した。その結果、酸化ストレス与えた後の体重および生存率は、野生型マウスと比べて有意な差は見られなかった。これらの結果から、今後はインスリンシグナル系の分子の発現調節に対するWDR6欠損の影響についてさらに解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変動物が作製され、それらの動物をもちいた解析が進んでいる。酸化ストレス耐性の増強は顕著ではなかったが、他のストレスに対する耐性などを今後継続して解析していく。
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Strategy for Future Research Activity |
インスリンシグナル関連分子や、これまでに報告されている寿命関連因子の発現およびその調節に対するWDR6欠損の影響について解析する。
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Causes of Carryover |
500円以下の金額となり、特に今年度中に必要な消耗品の購入予定がなかったことから、研究費を有効活用を目的として次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度分の研究費と合算し、次年度使用額として繰り越した金額以上の消耗品等を購入する。
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