2015 Fiscal Year Research-status Report
腸管膜粘液分泌が関わる排便機構の解明:CFTR遺伝子多型と慢性機能性便秘との連関
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15K12350
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Research Institution | Jin-ai University |
Principal Investigator |
浦本 裕美 仁愛大学, 人間生活学部, 准教授 (50390696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤塚 結子 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 准教授 (90321611)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 便秘 / CFTR / ゲニステイン / クルクミン |
Outline of Annual Research Achievements |
女子大学生226名にROMEⅢの診断基準に基づくアンケートを行い便秘者を選別し、実験に対する同意を得た被験者(便秘群19名、非便秘群20名)を決定した。便秘とCFTRとの関連を調べるため被験者にCFTRチャネル活性作用をもつ成分、ゲニステイン(テンペ)あるいはクルクミン(ターメリック)を含有する食品の摂取実験を行なった。また、国民健康栄養調査等の結果から一般に食物繊維摂取量が少ないことが予想されたので、試験食に難消化性デキストリンを含むものも加え検討した。今回の被験者の日常の食事について調査した結果、総食物繊維摂取量は便秘群と非便秘群の両群共、平均約10gと日本人の摂取基準(18g)の約半分で、更に、個々の摂取量には大きな差が認められた。また、乳酸菌(生菌)を含む食品を習慣摂取する者が全体の約半数で、特に非便秘群に分類された被験者で多くいた。摂取実験期間中、排便時の症状等について毎日回答してもらい、その結果を集計したところ、乳酸菌含有食品の習慣摂取の有無および総食物繊維摂取量が試験食の効果に大きく影響を与えていると考えられた。そこで、排便時の症状について総食物繊維摂取量を考慮し、1日10g以上摂取者と10g未満摂取者に分け結果を検討したところ、1日10g以上摂取者(計15g以上摂取)において、ゲニステインと難消化性デキストリンの同時摂取群に排便時の症状が改善される傾向が認められた。難消化性デキストリン、ゲニステイン、クルクミンの単独摂取群では効果は認められなかった。しかし、クルクミンと難消化性デキストリンの同時摂取は、有意差は認められなかったが、実験条件を整備すれば改善効果が期待できると考えられた。CFTR機能の指標である汗中塩化ナトリウム濃度を調べたところ、正常範囲者は非便秘群25%、便秘群16%で、他は高濃度者であった。便秘群で70mmol/L以上の者が約20% 認められCFTR機能が低下している者多いと推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた摂取実験を終了できた。ただし、遺伝子多型解析の準備はできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
提出した実験計画に従い、被験者のCFTR遺伝子の解析を進める。
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Causes of Carryover |
CFTR遺伝子解析の準備を今年度できなかったため、分担者配分額(5万円)が次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度から準備および本実験等を進める予定で計画に大きな変化はない。
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