2016 Fiscal Year Research-status Report
科学的な見方や考え方に基づくくすり教育プログラムの開発に関する実証的研究
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15K12368
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
益田 裕充 群馬大学, 教育学部, 教授 (30511505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日置 英彰 群馬大学, 教育学部, 教授 (00208737)
栗原 淳一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90583922)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | くすり教育 / 高等学校化学 / アスピリン腸溶剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)医薬品を適正使用することの重要性を科学的に理解できる教育プログラムを開発すること。2)高等学校科学基礎や化学で学習する内容と日常生活の関連が実感できる実験教材を開発すること。3)開発した授業プログラムの有効性を、授業実践をとおして検証することを目的に研究を行った。調査の結果、授業を通してくすりが副作用を抑えるように設計されていることを理解し、アスピリン腸溶剤の場合には、酸性のフィルムコートの溶解性が胃と腸のpHの違いにより変化することが理解できていることが分かった。また、授業1ヶ月後の調査では、フィルムコートの溶解性が変わることは理解できているものの、pHの変化が、溶解性に影響を及ぼしていることを答えられた生徒は少ないことが分かった。さらに、錠剤をかんで飲んではいけないことを、くすりが多層構造になっていることと飲み方を関連づけて答えることができるようになることが明らかとなった。プログラムの全体的な成果として、マインドマップを用いた調査を行ったが、学習前は「錠剤」「苦い」「治る」といった外見や感覚的な単語の記述が多かったが、授業を通した学習後は「酸・塩基・pH」など化学の授業で学習する概念とくすりが結びつけられ、くすりを科学的な観点から理解できる生徒が多くなることが明らかとなった。今後の課題として、調査対象とする生徒数を確保するなどの課題が挙げられる。実社会や実生活との関連を学習内容と結びつけて理科の授業を構想することが、学習指導要領改善の方向性と合致するが、本プログラムは、こうした点においても有効なプログラムであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本科学教育学会編集・発行の科学教育研究,Vol.41,No.1に原著論文として掲載されるなど成果をあげているため。
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Strategy for Future Research Activity |
くすり教育を展開する別の観点からの授業プログラムを開発し、これを検証し、その成果を学会投稿論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
研究授業の実施とその検証対象とした実施予定校での検証授業等が、相手先の予定で完了できなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
検証授業実施のための教材等一式および資料収集に関わる旅費など
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