2015 Fiscal Year Research-status Report
経験知とアルゴリズムの融合による数学オンラインテスト解答候補ツリーの自動生成
Project/Area Number |
15K12377
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 泰之 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (70273208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉冨 賢太郎 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (10305609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 数学教育 / eラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,従来のオンラインテストの評価方式として数式で解答を提示する数式評価可能なオンラインテストにおいて,良質な問題を設計するために不可欠である,学生から提示される様々な解答に対して柔軟に対応し,適切なフィードバックを与えることができる機能を提供できるように,想定される解答候補を効率的に生成し,整理する仕組みを構築することである。それは,最も重要であると同次に,時間的・知的コストを要する作業であるため,効率的な解答候補生成のために,限量子記号消去(Quantifier Elimination, QE)アルゴリズムを利用することを計画した。 研究初年度では,STACKやMATH ON WEBを用いた数学オンラインテストの問題データを精査し,QEアルゴリズムを各問題にいかに適用するかということに対して様々な可能性を検討した結果,限量子記号を用いて問題を記述し,問題の種類を分類することをまず出発点であるという方向性を見出した。そして,その分類にもとづいて,各分類に対して典型的な解答候補を予め準備しておき(データベースを作成),それぞれの問題ごとに解答候補を提示する方法が現実的であるという見込みを持つに至った。そして,提示された解答候補に対して,豊富な教育経験を基盤として蓄積された教師の「経験知」による精査を行って,不足している解答候補を追加,修正し,最終的な解答候補ツリーを生成するという道筋を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来は,限量子記号を用いて各問題を論理形式で表現し,それを元に問題の様々なバリエーションを生み出し,これを各解答候補に到達するプロセスに対応させることを検討していたが,適切な指針を見いだせず,現在は限量子記号により問題表現することで,問題の分類を行い,各問題に対して典型的な解答候補を準備しておき,それに対応させるという次善策をとるに至り,2年目に行う具体的に構築する解答候補生成システムのための,設計の準備段階にとどまっていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に到達した,効率的に解答候補を生成するための手法として,(1) 限量子記号による問題の分類,(2) 各分類された問題に対応した典型的な解答候補ツリーの作成,(3) 用意された解答候補ツリーに対して,豊富な教育経験を基盤として蓄積された教師の「経験知」による精査に基づいた解答候補ツリーの修正,という一連のプロセス実現するシステムを開発していく。 (1)の作業に対しては,すでに豊富な問題が蓄積されている数学オンラインテストシステムであるSTACKやMATH ON WEBのデータを活用し,問題の分類の決定に役立てる。また,(2)のために,STACKでは解答候補ツリーの一つである,ポテンシャル・レスポンス・ツリーの機構を備えているので,既存の問題のツリーを参考にしながら,典型的な解答候補ツリーを作成する。(3)を実現するために,解答候補ツリーを視覚化しながら,解答候補の追加,削除,修正が可能なシステムを設計していく。
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Causes of Carryover |
初年度は数学オンラインテストのための問題の解答候補を生成するアルゴリズムを考えるために,まず研究代表者,分担者それぞれ独立にアイデアを練ることを重視したため,想定していたほど研究打ち合わせ旅費が発生しなかったた。このことが,当初の予定より旅費の執行が少なかった理由である。また,アルゴリズム設計のためのコンピュータを購入する段階には至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度以上に研究代表者,分担者の研究打ち合わせを密にするために,主に旅費として執行する予定である。また,アルゴリズム設計のための端末を購入する予定である。
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Research Products
(22 results)