2016 Fiscal Year Research-status Report
教養教育のための構内ビオトープ池の構築と微細藻類に着目した環境教育教材の開発
Project/Area Number |
15K12379
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
幡野 恭子 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (90208520)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教養教育 / ビオトープ池 / 微細藻類 / 教材開発 / 環境教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球環境問題が深刻化し、持続可能な社会をつくるために大学の教養教育における環境教育の必要性が高まっている中、学生が自然環境を身近に体験する場所として、大学構内に設置したビオトープ池10面を維持管理し、環境学習プログラムの試行を実施した。池ごとに環境を変えた結果、数十種の微細藻類や動物プランクトンが生息するようになり、授業期間内にさまざまな微生物の観察が可能となった。教養教育実習と1回生向け少人数ゼミで、実践的な研究を行った。 教養教育実習では、池ごとに生物の観察や水質の調査をした後、水、水草、落ち葉を採集した。その後、実習室に移動し、微細藻類や動物プランクトンを顕微鏡で観察し、同定した。学生は池ごとに環境や生息している生物に違いがあることを学習した。また、ミドリムシやクラミドモナスの動き、アオミドロやミカヅキモの葉緑体や核などを生きた状態で観察することができた。 1回生向け少人数ゼミでは、定期的にビオトープ池の水質調査と生物調査を実施した。さらに微細藻類や動物プランクトンの顕微鏡観察と顕微鏡用デジタルカメラおよびスマートフォンによる写真撮影を行った。授業期間を通じた各池の水質調査結果を学生が集計してグラフを作成し、生息する生物との関係について考察を行った。また、池の維持管理の方法を検討し、水の補充や除草、落ち葉とり、生物の移入や移出などの作業を行った。授業期間の後半では、学生自身が微細藻類と他の生物や周囲の環境との関係について興味深い題材を見出すことができるようになり、それを調べるための作業や観察、調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載された実施計画はほぼ予定通りに進められたと考える。今年度の実践内容とその成果については学会発表を通じて評価を受けた。 前年度に明らかになった、限られた授業時間内に学習プログラムを実施するという問題を改善するために、水質測定方法と顕微鏡観察試料の採水方法を検討し、簡便な手順に変更することができた。その結果、ビオトープ池における環境と生物との関係を考察する時間を増やすことができた。 また、池の維持管理方法の検討により、授業期間を通じて構内ビオトープ池を身近な環境教育の教材として活用することができ、実践的な研究に取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の実践成果をふまえて、構内ビオトープ池を用いた環境学習プログラムの開発および改良を行い、教養教育実習と少人数ゼミにおいて引き続き実践的に研究する。最終年度として、授業で使うための構内ビオトープ池に生息する微細藻類やプランクトンの写真集を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
データロガーによる継続的な環境調査方法について、既存の機器を再利用して小規模に試験的な検討を行ったため、物品費が予定より少なくなり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の教材開発状況にあわせて、環境測定機器の購入に使用する。また、ビオトープ池の経年劣化による補修のために使用する。
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Research Products
(1 results)