2017 Fiscal Year Research-status Report
科学的に未解明な課題から作るESDも視野に入れた超学際的な高校「理科」の教材開発
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15K12394
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
根本 泰雄 桜美林大学, 自然科学系, 准教授 (30301427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 秀太郎 公益財団法人地震予知総合研究振興会, その他部局等, 主任研究員 (90455254)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地震 / 地震に伴う地鳴り / 理科 / 教材開発 / 高等学校 / 東京大学地震研究所筑波地震観測所 / マイクロホンアレー観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究2年目に始めた,地震波形と地震に伴う地鳴りとの同時観測を行うプロトタイプ機による観測を継続して行った.また,これと平行して観測点の増設をより安価・簡便に行えるシステム構築も目指し,RasberryPIへ接続するボードタイプの地震計およびデータ蓄積システムを考案した. プロトタイプ機による観測は引き続き東京大学地震研究所筑波地震観測所にて継続中である.2年目までの観測で得られた記録から,筑波地域における地鳴りは主として低周波であることが確認できたため,今後の観測におけるデータ量の節約の可能性を探る目的も兼ね,観測の一部期間において低周波領域だけでの記録収集の可否も検討した.さらに,1・2年目に引き続き,市販の地震動センサーと連携して手作り地震計を用いる可能性も探り,PCを記録器とする手作り地震計の性能確認試験の他,RasberryPIを基幹とするシステムの試作も行った.また手作りセンサー部は,上下動1成分の他,これに基づき水平動も測定できるように調整した水平動1成分のセンサーの試作も行った. 一方,3年目(2017年度)の観測では,地鳴り音源を探ることも目的として開発した観測システムでの観測を開始する予定であったが,観測システムへの落雷対策や音源方向の特定を行うマイクロフォンのより適切な配置等システム設計に時間を要し,さらに天候の影響などでもあり目的の観測を開始することができなかった. そこで,研究期間の延長を申請し,音源の特定が行える観測記録を得ることを本研究の最終目的として観測を継続することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予定より進捗が遅れている.理由の一つは,観測記録の収集や観測機材のメンテナンス,および新しい観測システムの設置を予定していた時期に大雨や降雪に見舞われ,特に新しい観測システムの設置準備が予定通りに進められなかったことによる.また,3年目冒頭までの設計にて落雷対策を取り入れることはできたものの,設計計画では予算内に収まらないことが判明し,予算内に収める設計変更に手間取ったことから,新しい観測システムの構築が予定より大幅に遅れたことにもよる.最終的には,本研究にて野外に設置した機材を落雷から完全に保護することを断念し,観測を行っている東京大学地震研究所筑波地震観測所の建屋や観測機器には影響を与えないことにすることで,予算内にて落雷対策を収める判断を行い,新しい観測システムを構築した.
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Strategy for Future Research Activity |
複数のマイクロフォンを使用した新しい観測システムによる観測,およびプロトタイプ機による観測を引き続き行い,両機材にての観測記録の蓄積および比較を進めるとともに,より定量的な解析結果が得られるように得られた観測記録の分析を引き続き進める. さらに,3年目に考案したRasberryPIをセンサー部および記録器とするシステムを観測機材に組み込み,2年目に行った改良版手作り地震動センサーと同様,高価な地震計を用いることなく高校生でも取り扱える機材を提案する.また,2年目,3年目に行った改良版手作り地震動センサーを1成分毎ではなく,2成分(上下動,水平動1成分),3成分(上下動,水平動2成分)同時に記録できるようにすることも目指す. 筑波地震観測所での音源特定を目指し,新しい教材を高等学校等の生徒が考えるための道筋を示したレシピとして整理し,本研究を次のステップに進めるようにまとめる.
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況での理由を記す欄にも記述した通り,システム設計時における落雷対策や設置時の降雨や降雪の影響などもあり,研究計画時に想定した以上の時間を観測に至るまでに費やしたため,本機材による観測期間および解析時間を予定通りに確保できなかった.その結果,本機材としての観測システム用の一部予算および筑波地震観測所へのメンテナンス用交通費の一部を2017年度中に使用できなかった.さらに,収集した記録を保存するために必要となる外部記憶媒体等の購入を2017年度中には行う必要が生じなかった.以上のことが,次年度使用額が生じた理由である. 本研究を2017年度までに予定していた研究計画の遅れを取り戻して遂行していくためにも,本年度はプロトタイプ機による観測,地震に伴う地鳴りの音源方向も探る観測機材による観測,得られた記録の分析,および本研究を通して開発した新しい教材作成の指針を,高等学校等の生徒が考えるための道筋を示したレシピの作成に使用する計画である.得られた研究成果の発表に関しては,(公社)日本地震学会2018年度大会などにて行う予定である.
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Research Products
(1 results)