2015 Fiscal Year Research-status Report
ロボットコミュニティに生物的自律能力を持たせたとき、人はどの段階で脅威を感じるか
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15K12396
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大椙 弘順 静岡理工科大学, 総合情報学部, 教授 (00201377)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ロボット / 自律性 / 人工知能 / AI / 生命 / 生物 / 認識 / 感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「ロボットにどこまで自律性を与えて大丈夫か」の問題について、自律性傾向を増大させた状況を人に提示した場合、(1)その危険性を人はどれだけ把握・認識できるかを明らかにし、また(2)そのような状況についての危険性や問題点の認識を、Web等も通じ広く啓蒙し、危険な状況に移行する前に、対策が取れることを目指す。本年度は、上記目的に沿い、ソフトバンク社のロボット「Pepper」を3体導入し、以下の研究を行った。 (1)について:Pepperと人の日常的状況をいくつか設定し、その中で、Pepperの自律性レベルを段階的に変化させ、人に対して友好的な言動・振る舞いと、その逆にの友好的でない言動・振る舞いを複数段階制作し、その実行状況を撮影記録し、アンケート紙により被験者が持つ認識や感情を調査した。言動を段階的に変化させる際に設定した状況は次である。・人宛に宅配便で届いた荷物についての人間に対する言動、・怪我をした人に接したときの言動、・人間の質問に対する言動。各状況において、Pepperが友好的に振舞うケース(人間をサポートする目的として、本来プログラムされることが望ましいケース)から、Pepperが自律性を強く働かせ、自身の興味・嗜好や自身の志向を中心に挙動するケース(このケースでは、人間が不利益を受ける場合も発生する)の複数ケースを設定した。本年度では、研究の基礎段階として、ある程度言動が明確なケースを設定し調査したところ、制作した各状況で、ほぼ期待されるようなアンケート結果を得た。 (2)について: 本研究者の元々の専門である「生物学」の講義の中で、「生命の本質とは? ロボットが生命化するとしたら…」という授業を、Pepper3体と共に行った。同授業収録動画をWeb上に一般公開したことで、ロボットと我々人との関係について考えるきっかけを、少し提供できたと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソフトバンク社のPepperを実際に入手できたのが、27年の10月であったので、実際にPepperの挙動を制作できたのはそれ以降であった。ただ、27年度は基礎段階としての調査が主要な目的であったので、当初予定していた実験については、概ねその内容に沿って調査・研究を遂行することができたと思われる。28年度については、基礎段階の調査に基づき、ロボットの挙動設定について、より細部にまで踏み込んで設定すると共に、調査・研究にとってより効果的な、新たな状況設定を取り入れて、研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な状況設定の中で、ロボット挙動を制作して、ロボットの自律性について段階的に表現するわけであるが、ロボットの嗜好性や、あるものを自分のものとして所有したい、と思う気持ち・行動などもロボット挙動の際の設定状況の一つとして、興味深い。そのような嗜好性や所有欲の程度を段階的に変化させる過程で、人とフレンドリーな状況から、人に敵対する状況へと対応する変化を表現できる可能性がある。今後は、この点も考慮に加えながら、例えば、「ロボット猫」のようなものに対するPepperの嗜好性や所有欲を設定することで、自律性の変化と、人に対する対応の変化を表現し、それに対する人の認識・思い・感じ方などについて調査することも加えながら実験を進める。
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Causes of Carryover |
本研究ではソフトバンク社のロボットPepperを3体使用するが、このロボットの維持には、毎月ごとに、「アプリケーション更新料金」と「故障の際の保証を目的とした料金」の支払が必要なことが確定している。28年度のこの代金を確保するために、27年度の1万円程度を28年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の、毎月ごとに支払いが必要となる「アプリケーション更新料金」と「故障の際の保証を目的とした料金」に対して、その一部代金として支払いを行う。
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Remarks |
上記webページ(YouTubeの動画)は、本研究の研究内容や研究成果を示すものでは有りませんが、本研究の目的と密接に関連する内容で、一般の方への啓蒙的な内容を含めたものです。
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Research Products
(1 results)