2017 Fiscal Year Research-status Report
アクティブシニアによるICTを活用した社会貢献および学習共同体の形成モデル
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15K12418
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
竹中 真希子 大分大学, 教育学研究科, 教授 (70381019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 成哲 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70176387)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アクティブシニア / 社会貢献活動 / ICTボランティア / 学習共同体 / ICTリテラシー / 生涯学習 / タブレット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の前提には,行政や他団体が組織するアクティブシニアの社会参画モデルではなく,アクティブシニア自身が組織するグループが主体となって実施する社会貢献活動,例えば町内会,自治会におけるICTボランティア活動などを通して,自己やグループメンバーのICTリテラシーが向上計られていく姿を明らかにするということがあった。 しかしながら,平成28年度に生起した「メンバーの意識の乖離」により社会貢献活動への関心は希薄化した。ICTボランティアの活動を実施することで,まずは自己のICT活用力向上を優先すべきであると考えるメンバーが出たり,社会貢献活動の話し合いに時間を取られスキルアップの勉強が進まず物足りなさを感じるメンバーが出たりして,グループでは月1度のICT勉強会においてグループ内メンバーのICT活用力を高める活動のみが継続されることとなった。 月1度のICT勉強会では,多様な題材が取り上げられている。各勉強会では複数の内容が取り扱われることが多いが,特に関心が高いのはSNSである。平成29年度に実施された12回の勉強会において,SNSについて全く取り上げられなかったのは3回である。平成29年度は勉強会の出欠確認,報告書の提出はLINEのグループトークにて行われている。 自己スキルアップを目指した月1度のICT勉強会においてメンバーが相互作用しながらICTリテラシーの向上を図っているという点において,本研究の特徴と意義の半分は成功事例としてアクティブシニアの学習共同体による能動的な学びの姿を捉えることができている。一方,社会貢献活動のモデルや活動を通したICTリテラシーの向上モデルについては,その困難性を示す事例となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究開始当初,予定より早く参加メンバーの居住する2つの自治会において,他のシニアに情報携帯端末の活用促進を勧める社会貢献活動が実施された。しかし,活動を通して他者の学びを支援することの困難さに直面し,2年目以降グループ内の学び合いが活動の中心となっている。29年度のグループ内の学び合いについては,メンバーが知人を連れてきたり,関心を持った人が訪問してきたりするようになり,大変活性してきている。そのため,当初計画とは異なるものの,研究計画を見直しつつ,学習共同体の学び合いについて期間を延長して追究することにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,引き続きグループの勉強会を追い,アクティブシニアで構成されるグループの学習共同体としての活動とそれが活性されてきている要素について追究する。そのことで,アクティブシニアの「学びー教え合いによる自己実現」について考察したい。 また,「超高齢社会における高齢者の新たな社会参画のあり方」として,自主的な ICTボランティアなどの社会貢献活動が実現されていく創造的な姿を明らかにする予定であったが,それが困難になったことについて考察することで,スマートプラチナ社会に描かれているような理想的な学習共同体の拡張を生起させることの難しさと,その実現の手がかりをつかみたい。
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Causes of Carryover |
(理由)アクティブシニアで構成されるグループが情報携帯端末の活用促進を他のシニアに勧める社会貢献活動において,他者のびを支援する困難さに直面し,グループ内の学び合いを中心とした活動は継続しているものの,前者の活動は停止している。そのため,研究が遅れている事に伴い,計上していた予算の支出も遅れている。
(計画)平成30年度は,平成29年度に引き続き分析作業を進めるための必要な備品の購入を計画している。また,研究成果をまとめて報告するための経費として執行することを計画している。
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