2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K12454
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 徹 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (70436583)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地理学 / 地理情報システム / 地理情報科学 / 認知行動地理学 / 空間認知・心理・行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近の情報通信技術の発展と地理空間情報の整備に伴い、現在では、各種の位置情報サービスが日常的に利用される状況となっている。これら最新のシステムについては、その革新性・利便性が注目されると同時に、利用者の空間認知・行動に与える影響についても学問的・応用的な関心を集めている。そのような関心を背景に、本研究は、ナビゲーションシステムの日常的利用が利用者の空間認知行動に与える中長期的な影響について、利用状況や空間能力との関係を考慮に入れ、実空間での経路探索実験に基づき、実証的に調べる。 初年度は、ナビゲーションシステムの利用歴と空間能力および空間把握特性との関係について、20 歳代から60歳代までの250 人(男女半数ずつ)を対象に調査をおこなった。具体的な質問項目としては、年齢、性別、空間能力(心的回転テスト)、方向感覚、空間把握特性(ルート型またはサーベイ型)、ナビゲーションシステムの利用歴(利用期間、頻度、目的)について尋ねた。 上記の調査から得られた回答結果の分析を進め、年齢や性別を考慮したうえで、ナビゲーションシステムの利用歴と空間能力、方向感覚、空間把握特性との関係を調べた。その結果、ナビゲーションシステムの利用頻度が基本的空間能力と有意な関係をもつことが示され、空間能力という変数を媒介して経路探索能力に影響を与える可能性が示された。次年度以降は、この影響について、実空間での経路探索実験をおこなうことにより、さらに詳細に調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、ナビゲーションシステムの利用歴と基本的空間能力との関係を調べる調査をおこない、得られた結果の分析を終え、次年度の現地調査のための準備が完了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記の調査で得られた結果をさらに詳細に分析するため、同調査の回答者から、ナビゲーションシステムの利用歴が長い人とまったくない人を抽出し、対面・実空間での行動実験をおこない、両グループの実空間での空間把握の違いを調べる。具体的な実験内容としては、参加者にこれまで訪れたことのない場所に行ってもらい、地図およびナビゲーションシステムを用いて未知のルートを辿ってもらい、ゴール地点から、スタート地点やルート上の主要なランドマークの方向を推定してもらう。これにより、周辺環境の2 次元的な把握の正確さを調べ、ナビゲーション利用歴および基本的空間能力との関係を調べる。
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Causes of Carryover |
3月に実施した調査は予定どおり終了し、納品まで完了している。また、現在投稿準備中の論文の投稿料として残額を翌年度に使用するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は現在投稿準備中の論文の投稿料として使用し、次年度の調査実施費用と合わせて、当初の目的を遂行するために使用する。
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