2015 Fiscal Year Research-status Report
地下水の水みちを考慮したモンゴル草原地帯における浅井戸掘削最適地の判定
Project/Area Number |
15K12455
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河合 隆行 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 助教 (20437536)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モンゴル草原地帯 / 浅層地下水 / 地下流水音 / 地質探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,モンゴル草原地帯において地下水が流動する際に発する微弱な音波を地表面から集音し,簡便かつ迅速に地下水位と地下水の水みち位置を特定すること目的とする。そのために,モンゴル草原地帯のさまざまな地質・地表面状態でのデータ取得を行うために,モンゴル北部の草原地帯・中央部の半乾燥草原地帯・南部の乾燥草原地帯の3か所に観測サイトを設ける。各サイトでの観測は,既存の観測井がある地点に測線を設け,地下流水音探査と既存の地下水探査技術を併用して地下水深・水みち位置の推定精度の確認を行う。また,各地質における地下流水音の周波数および異常値特性を比較し,地質が地下流水音に及ぼす影響についての解析を行うと同時に,地下流水音から地質の同定を試みる。 平成27年度はモンゴル中央部の半乾燥草原地帯(トゥブ県バヤンウンジュール市)・南部の乾燥草原地帯(ウムヌゴビ県ブルガン市)の各地点で複数の測線を設け,以下の調査を行った。① 距離計・角度計・GPSを用いた地形面測量。②地下流水音探査装置を用いた地下水位および水みち位置の推定。③ 地中レーダーを用いた地下水位探査。④ 2次元比抵抗映像法を用いた地質構造の探査。⑤現地踏査と岩石サンプリングによる地質同定。 地中レーダー,2次元比抵抗映像法から得られたデータを用いて,地下水位および水みち位置を決定した。また,上記の結果と地下流水音による解析結果と比較して地下水深の推定誤差を検証した,その結果,明確な地下水面が存在し帯水層厚が3m前後の半乾燥草原地帯では,地下流水音による地下水位の推定誤差は1mほどであった。明確な地下水位が存在しない南部乾燥草原地帯では,ほとんどの地点で地下流水音が発生していなかった。ただし,断層地形や石灰岩地域の地下水の水みち直上でのみ,非常に大きな地下流水音が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定していたモンゴル国内の2地域の調査をすべて完了した。得られたデータを解析した結果,ある程度の地下水資源が存在する地点では,地域の地下水位を推定する平面的な地下水探査技術として,地下流水音探査法が有用であることが示された。また,浅層地下水がほぼ存在しない乾燥地域においては,地下流水音を用いることで近傍に地下水の集中する水みちの有無を確定できることが明らかになった。これらの結果は研究計画時点にて推定されていた成果とほぼ同じであり,研究が予定通りに進行していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,モンゴル北部の草原地帯での現地調査を予定している。調査内容は平成27年度とほぼ同じの,①地形面測量。②地下流水音探査装置を用いた地下水位および水みち位置の推定。③ 地中レーダーを用いた地下水位探査。⑤現地踏査と岩石サンプリングによる地質同定。である。観測予定地が永久凍土帯を含むため,帯水層上部の凍結した地下水が地下流水音に及ぼす影響を確認することを目的の一つとして追加し,各種データの取得と解析を試みる。
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Causes of Carryover |
平成27年度は,モンゴル国内の地盤探査に国内の地盤探査装置を用いる予定であった。そのため機材の輸送費を考慮した予算申請を行ったが,一部の探査機器を共同研究先のモンゴル科学技術大学にて借用することが出来た。その結果,使用予定額に差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は,新たに導入された大型地盤探査装置をモンゴル国内にて試用する予定である。そのため,研究計画時より機材輸送費が大幅に上がることが見込まれるため,平成27年度の繰越予算をこれに充当する予定である。
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