2015 Fiscal Year Research-status Report
外国人散居地域の形成に関する空間分析と孤立度指標の開発
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15K12456
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 耕平 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90201988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 匡俊 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 講師 (90566720)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 外国籍女性 / 国勢調査 / 散居 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
研究方法:平成22年度国勢調査地域メッシュ統計(基準地域メッシュ:1km×1km)を用い,秘匿地域を除く人口1人以上の1キロメッシュを用いて外国人の分布状況を分析した. 研究結果:全メッシュに占める外国人が居住するメッシュの割合を都道府県別に求めると,東北各県では20~40%台であり,80%を越える東京・神奈川・大阪の都府県に比べて低い.しかし,東北各県では,外国人が居住するメッシュの4割程度が外国人1人のみのメッシュであり,そのほとんどが女性である.そこで,全メッシュに占める「外国人が1人,かつそれが女性であるメッシュ」の割合を求めると,東北から北関東・甲信越にかけての東日本で高い値を示す.最高の山形県が16.6%,最低の神奈川県が3.2%であった.山形県でも他の都道府県と同様,外国人は都市部に集住するが,農山漁村に外国人が女性1人のみのメッシュが散在する.国勢調査メッシュデータでは,外国人の婚姻状況を把握することはできないが,既往研究や筆者らの現地調査によって,彼女たちのほとんどは,嫁不足の東北農村に途上国から嫁いだ女性だと考えられる.東北地方に外国人の嫁が多いことを統計的に示した研究はすでに存在する(石川,2007).本研究の意義は,彼女たちが他の外国人から空間的に離れて散居していることを統計的に明らかにした点にある. 成果公表と受賞:以上の研究成果を東京大学空間情報科学研究センター主催CSIS DAYS 2015で発表し,優秀研究発表賞を受賞した(清水沙耶香・森田匡俊・岡本耕平の連名).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度から来年度にかけて孤立度指標を開発することを当初から計画してきた。多様な角度から検討を行っているが、現在まだ開発には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
1)孤立度指標の開発:マイノリティ人口の分布状況を把握するため,小地域統計(具体的には1km メッシュ)を用いて,近傍メッシュにおける値も考慮した“孤立度指標”を開発する. 2)孤立度指標と他の統計データを用いた地域の類型化:「孤立度指標」を地図化することで,日本全体スケールにおける特徴的な地域を抽出する.そして,特徴的な地域を取り上げ,日本人の女性・男性人口などの他の値との空間的な相関関係を見ることで,特徴的な分布に至った背景について探索する.
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Causes of Carryover |
当初、分担者のもとでデータを購入する予定であったが、東京大学空間情報センターCSISの研究用空間データ基盤のデータを用いて研究遂行が可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会での発表、国際誌への投稿のための費用に充てる予定である。
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