2015 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴出ガス濃度分布の遠隔計測のための携帯型吸収方式ライダーの開発
Project/Area Number |
15K12468
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
椎名 達雄 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 准教授 (80304187)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | H2S / 硫化水素 / ガス計測 / 2f検波 / DFBレーザ / ファイバアンプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、火山噴出ガスの中で最も毒性の極めて高い硫化水素 H2S ガス濃度の空間分布状態を約 1km の遠方より高感度計測するための小型で携帯可能な吸収分光方式ライダー(レーザーレーダー)センサー装置の開発を目的としている。そのため、波長 1.6μm 付近の近赤外域の目に安全で小型・高出力のレーザー発振・増幅器を試作し、2次元方向にレーザー光を走査して背後の地面等からの散乱光を高 感度検出して微量(約1ppm・m以下)の濃度・光路長積の定量測定を実現することを目的とした。また、カメラによる風景画像にガス濃度分布を表示する機能を付加して簡易な動作法を確立して、高濃度域やガス放出量などの情報から災害の分析や救護活動などの対策立案のための災害情報計測システムとして役立てる可能性を短期間で検証するものである。 1.5μm帯のDFB-LD(Anritsu製DFB-LD 20mW[max])をH2Sガスの吸収線を中心として変調し、2f検波法によるガスの定量計測を行った。理論解析による波長変調の最適化を具現化し、実際の計測波形と比較した。実計測において、1,000-100ppm・mのH2Sガス濃度計測を実現できた。 また、1kmの遠方計測を想定し、ファイバ光増幅器(Keopsys社製ファイバアンプ 2W[max])を導入し、射出出力の増強を図った。理論的な信号対雑音比の解析結果を踏まえて、送受信光学系の構成を組み立てた。装置は2次元スキャンを実現すべく、トラッカー上に配置され、PCで観測方向の制御、ならびに画像化を図っている。 H2Sのガス測定は研究室内にてガラスチャンバ内にて行った。本研究期間では火山現場での実計測には至らなかったが、装置の完成までこぎつけることができた。今後外部実験へと進める予定である。
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