2017 Fiscal Year Annual Research Report
Safety design method of Lithium ion battery using systems approach
Project/Area Number |
15K12469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平尾 雅彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80282573)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | システム安全 / 製品安全設計 / リチウムイオン電池 / ライフサイクル / フォルトツリー解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に続き、リチウムイオン電池(以下LIB)事故の特徴を特定するために事故情報の分析を行い、2つの課題を明らかにした。(1)LIBは、使用時も事故時も多くの化学反応を伴い、複雑なメカニズムをもつため、各事故要因に対し安全対策を提案する必要がある。(2)LIBは、電池製造者、製品製造者、使用者が異なるというステークホルダー間の複雑性をもつため、各ステークホルダーの安全対策行動を明確にする必要がある。 課題(1)について、各事故要因に対し安全対策を提案するため、フォルトツリー解析(FTA)により事故発生条件の特定を行った。安全対策はFTA図上で各事象に対し次のように対策を提示することができる。(1)条件を追加し、事象が発生しても上流で防護する。セパレータの強度を上げ、短絡しないようにする。(2)事象そのものの発生を防ぐ。例えば、リコールにより不具合製品の使用を停止する。 課題(2)について、ステークホルダーの安全対策行動を明確にするため、制御構造図を導入した。制御構造図は、システム内の機器、組織、環境を要素とし、要素間の相互作用として制御行動と情報を示すものである。安全対策に必要な行動には次の2通りがある。(1)既存の相互作用を強化する。例えば、消費者が事故通報を確実にするため、行政や製造事業者が消費者に事故通報制度を周知する。(2)新規の相互作用を構築する。例えば、リコール情報を確実に伝えるために、製造事業者が消費者を介さず、IoT技術を応用し製品に直接リコール情報を表示する技術が提示される。 以上のように、FTAと制御構造図の分析を統合し、LIBの安全設計支援手法を構築した。FTAで安全対策を提案し、制御構造図で必要な行動と実施者を提案することができ、制御構造図で提案された行動をFTAに導入することで安全対策を分析できる。 研究成果を化学工学会第83年会で発表した。
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Research Products
(1 results)