2016 Fiscal Year Research-status Report
荒天時における船舶機関の運転制御および波浪影響の連携評価による新運航システム
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15K12474
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
笹 健児 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (10360330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 茂明 神戸大学, 海事科学研究科, 名誉教授 (00105363) [Withdrawn]
柏木 正 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00161026)
内田 誠 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (90176694)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 主機特性 / 船速低下 / 荒天航海 / 燃料消費量 / CO2排出量 / 数値シミュレーション / 実海域性能 / ウェザールーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の実施内容をもとに平成28年度は実海域におけるばら積み貨物船の荒天航海における計測データをもとに主機の制御モードごとに船速低下を評価可能な数値シミュレーションモデルを構築、再現計算を行い、その精度を詳細に検証した。得られた結論は以下に要約できる。 (1)南半球の3海域における荒天航海の状況について、主機制御の状況を詳細に分析した。この結果、2ケースについては、船速が低下しているにもかかわらず主機出力や推力が一定値となっている出力一定制御の状況に近く、1ケースは船速や回転数の低下とともに主機出力や推力も大きく変動している状況が混在していることが明らかとなった。後者については主機の排気温度を過大とさせないように人為的に制御している可能性が高く、この点のさらなるデータ分析とモデル化が必要である。 (2)2010年度および2013年度における主機出力、燃料消費量の特性を統計的に分析した。荒天航海中と静穏時における比較、通常負荷および減速運転における特性の違いについても違いを明らかとした。縦揺れの有義振幅が4度を超える状況では船速低下は顕著となり、1海里あたりの燃料消費量は60リットルから100リットルまで大幅に増加、減速運転によって静穏時は5リットル/海里程度の減少、主機出力と船速を3次曲線にて近似した場合の傾きが1.6より2.5に大きく変化することも明らかとなった。よって荒天航海時には通常時とは異なった特性曲線による評価が必要である。 (3)南半球の荒天航海について、船速低下のシミュレーションを実施した。この結果、抵抗増加の計算モデルによる差異は波浪条件が4m以下の場合は非常に小さく、一方で気象データベースや風モデルの考慮の有無による波浪推算値の差異による影響が非常に大きいことが明らかとなった。この後、ウェザールーティングにてこの点を考慮する必要性も明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画したタービン船での研究はまだ実現できていないが、ディーゼル船による荒天航海時のデータを数年間にわたり分析でき、静穏時との違いや数値シミュレーションにおける再現性を時系列レベルにて詳細に精度検証も実施できた。この点について、船速低下の影響評価と船舶の機関運転の関係はかなり明確なものとできたと考えている。しかし、主機運転から見た減速運転の評価として主機内の排気温度が重要であることを今年度に発見し(当初、予期していなかった)、この点については長期的な視点で理論的およびデータからも明らかとしていく必要性を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
前述したとおり、ディーゼル機関における主機出力一定制御とした場合の数値シミュレーションによる再現性を見極めたため、最終年度は主機の意識的な減速を支配する要因について、排気温度やその他で重要な指標を明らかとし、これまで船体運動や加速度にて評価されていた状況に対して新たな評価関数の構築を目指す。さらにばら積み貨物船にて計測されたデータをもとに多くの研究者が提案した意識的減速の閾値が実際とどの程度当てはまっているのかについても判定を行い、その有効性と主機パラメーターによる減速判断との関係を明確としていきたい。
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Causes of Carryover |
平成28年度に予定していた実海域データにおける主機関係データの分析作業に予定よりも時間を要し、荒天時における機関士から見た運用状況の調査やタービン船における同様の分析作業が実施できなかった。このため想定していた予算を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は最終年度であり、前年度に予定していた作業を大学院生を割り当てた上で実施する計画である。特に全国の船会社の機関士を対象とした広範囲の調査、荒天下における意識的減速に関するデータ計算および検証を中心に進めるほか、クロアチアのリエカ大学との共同研究にて主機排気温度の状態分析についても鋭意実施する。
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[Journal Article] Starting System for Darrieus Water Turbine of Tidal Stream Electricity Generation2016
Author(s)
Shimizu, S., Fujii, M., Sumida, T., Sasa, K., Kimura, Y., Koga, E. and Motogi, H.
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Journal Title
Proceedings of the 35th International Conference on Ocean, Offshore and Arctic Engineering, OMAE2016
Volume: 1
Pages: 1-6
Peer Reviewed
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