2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12482
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 克哉 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (40335229)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 火山観測ロボット / 火山モニタリング / 遠隔操縦 / UGV / 火山ガス / 霧島硫黄山 |
Outline of Annual Research Achievements |
活火山の火口近傍における観測・リアルタイム監視は,火山噴火のメカニズム解明や災害対応活動のために必須であるが,観測装置の配備は十分でなく,いざ噴火が始まった場合には,危険な火口の近傍に新たに装置を備え付けることは難しい.この現状を打破すべく,本研究では,活動的火山の火口およびその近傍で,遠隔地より操縦され,機動的なリアルタイムの観測・監視を行う車両型小型無人ロボット「火山観測用自走式センサー『ほむら』」を開発・実用化することを目指している. 本年度では,まず,一台しかなかったほむらの予備機体の作成を行った.ほむらのパーツ図面作成し,株式会社津島鉄工所に発注し,パーツを作成,機体として組み上げた.このことにより,ほむらの機体が2台となり,運用と開発が同時に進行できるようになった. また,本年度では,霧島火山の一つの火口である硫黄山にほむらを設置して,長期モニタリングの試験運用を行った.1回目は2015年2月19日より4月8日までの約7週間,2回目2016年3月7日より4月13日の5週間である.我々は,硫黄山山頂までほむらを運び,硫黄山火口(1回目),あるいは噴気(2回目)が見える場所にほむらを設置した.硫黄山山頂周辺では,FOMA電波状況が十分不安ではなく,電波状況が安定している場所にほむらを設置し,ほむらを移動させないことにした.設置の後,京都大学より遠隔操縦を行った.その後,一日に,10分~2時間程度,毎日ほむらを起動し,センサー(カメラ,気温,CO2濃度)のデータをリアルタイムで取得した.試験運用中雨や霧などの悪天候の時もあったが,1回目は,電池がなくなるまで遠隔操縦に関するトラブルは起こらなかった.一方2回目は,4月8日まで快調に動いていたが,4月9日に突如ほむらとの通信ができなくなった.どのようなトラブルが起こったかは今後検討を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標としては,(1)ガスセンサーの開発,(2)ほむらの操作性・信頼性の向上,(3)予備機体の作成,(4)実際の火山における運用を上げていた.このうち,(3)(4)については,研究実績の概要で述べたように,予定通りの成果を上げたということができる.(2)に関しても,野外運用における防水の改良や,制御コンピュータの改良,太陽電池の試験的使用など(残念ながら,ほむらのサイズでは大きな太陽電池を搭載することはできず,効果のある太陽電池使用は現状ではできていないが),着実に行った. 一方,ガスセンサーに関する開発が遅れている.本年度の重要な目標として,ほむらの火山ガスセンサーを充実させることを挙げていた.現状では,CO2センサーのみであるが,それに加えてSO2センサー, H2Sセンサーをほむらに搭載できるようにするというものである.ほむらに搭載するセンサーは,小型でなくてはならないため,また,ほむらの制御コンピュータに接続する必要があり,すでにあるガス量計をそのまま接続することはできない.そのため,市販のガス量計をベースにほむらに搭載するように改造することを試みた.しかしながら,改造により温度などのガス量以外のファクターの補正がうまく行うことができず,現状で実用的なセンサーとして開発した状態には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に,前年同様,野外の長期運用試験,機体信頼性の向上のための改良,システムプログラム改良,安定バージョン「ほむら」を運用可能な状態を保つこと,を継続する. 特に野外運用においては,急な火山活動の活発化に対処できるように,すぐに設置できる状態にほむらを保つことを行っていく. なおガスセンサーに関して早急に,対処したい.現状で十分には小さいといえないもの,使用可能なガスセンサーを知ることができたので,これをベースにガスセンサーの開発を急ぎたい.
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Causes of Carryover |
ガスセンサーの購入のための予算を計上したが,科研費交付前に別予算で購入したため,この予算を使わなかった.また,ほむら設置のための旅費予算を計上したが,これをすべて使用するだけの適切な機会に恵まれなかったため,使用しなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に新たに,別のガスセンサーを購入するために使用する.また,予算に余裕のある場合,さらにほむら機体をもう一台製作するために使用する.
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