2015 Fiscal Year Research-status Report
地震による極端異常運動に関するメカニズムの解明:卓球効果対トランポリン効果
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15K12483
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
陳 光斉 九州大学, 基幹教育院, 教授 (50293882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 全太郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70735985)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地震 / 極端異常運動 / トランポリン現象 / 卓球効果モデル / 崩壊土砂 / 高速・遠距離移動 / 不連続変形法DDA / メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
地震による極端異常運動の発生メカニズムを解明するために、基礎理論を構築している。(1)衝突による大きな加速度の発生メカニズムを検討した。物体はある速度で地面に落ちた後、静止か上向きのリバウンド運動か、いずれも衝突によるごく短い接触時間内で大きな加速度が生じることを解析式で表せることができた。また、自由落下実験で数センチの高さから落下した物体は5G以上の加速度が観測され、提案理論を実証した。(2)大地震の際に、地面上の物体が振動に伴って大きなリバウンド速度が生じる現象の発生メカニズムを解明するために、落ちてきた卓球ボールに向ってラケットが上向きに振られると卓球ボールは高いリバウンド速度を得ることに着目し、完全弾性衝突モデルを用い、両物体は衝突前後の運動量の保存と運動エネルギーの保存によって、物体のリバウンド速度を推定する解析式を提案した。また、不連続変形法DDAを用いて、地球の質量は運動物体の質量より遥かに大きいことをモデル化し、物体は着地の速度に約2倍の地面運動速度を加えたリバウンド速度が得られ、提案モデルを検証した。 また、地震による崩壊土砂の高速・遠距離移動の特性を捉えるために、既存不連続変形法DDAを改良し、高精度な土砂運動数値シミュレーションを実現している。2008年岩手・宮城内陸地震の際にIWTH25観測所における観測結果に基づき、地下不連続面を有するDDAモデルを数値シミュレーションした。地下260mで記録された地震波をモデル地盤の入力波として、卓球効果による地盤上の物体の応答波形を計算した。DDAで得られた波形は同観測所の地面で記録された4Gを超えた波形とよく一致したことで、本研究で提案した理論と手法を検証した。また、2008年四川大地震による遠距離移動した斜面崩壊において、動的なDDAによる再現シミュレーションを行い、提案モデルの実用性を確かめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は以下の4つのテーマにおける研究を展開し、全ては計画通りに進んでいる。 1.「理論根拠の構築に関する研究」においては、衝突による大きな加速度が生じることを解析式で表せ、自由落下実験で提案理論を実証した。また、大地震の際に、地面上の物体が振動に伴って徐々に高くなる現象および大きなリバウンド速度が生じる現象の発生メカニズムを解明するために、物体は衝突前後の運動量の保存と運動エネルギーの保存によって、物体のリバウンド速度を推定する解析式を提案し、不連続変形法DDAを用いて、物体は着地の速度に約2倍の地面運動速度を加えたリバウンド速度が得られた。 2.「振動台実験によるトランポリン現象の発生条件の特定」におては、モデルの構築や初期試験を行っており、期待した結果を得た。 3.「動的なDDA数値シミュレーション手法の開発と極端異常運動事例の再現」においては、「卓球モデル」をDDAに取り入れ、新しい動的な数値シミュレーション手法として2D-DDAプログラムを開発し、衝突による卓球モデル、2008年岩手・宮城内陸地震の際にIWTH25観測所における観測による地下不連続面を有する地盤モデルに関する数値シミュレーションに成功した。 4.「崩壊土砂の高速・遠距離移動のメカニズムの解明」においては、DDA数値シミュレーションを行い、卓球効果で土石は跳躍や回転等の運動形態になりやすく、運動摩擦力がさらに低減効果を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の研究テーマを全て完成する。特に、3次元動的な不連続変形法DDAプログラムを開発し、斜面と崩壊土石間の衝突による速度の交換率、N-phaseや回転運動形態を考慮した動摩擦係数などを明らかにすることを重点とする。また、大地震による崩壊土砂の高速・遠距離移動特性を考慮して、危険斜面と一定の距離を有する河川で天然ダムの形成を予測するために、DDAと粒子法SPH を組み合わせた3次元固体・流体連成解析プログラムを開発する。
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Causes of Carryover |
交付額は計画に必要な費用より少ないため、必要に応じて年間費用を調整した。最終年度では、成果発表のために、より多くの費用が必要であり、研究計画の進捗に影響を与えない限り費用を最終年度に回した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
投稿料や発表会の旅費に使用する。
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Research Products
(12 results)