2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12492
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
馬場 信弘 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10198947)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハイドロバリア / 重力流 / 密度成層 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度,一方向に進む単独の重力流について調べた基本特性に関する結果にもとづいて,本年度は,主に,軸対称流への拡張,漏油モデルの構築,複数の重力流の相互干渉について研究を進めた. 放射方向に広がる軸対称の場合について重力流の発達とその過程の遷移,先端部の速度,厚さの時間変化等,基本特性について調べた.水路の側壁の角度を変化させることによって,より広い範囲の中心距離をもつ軸対称重力流を再現し,異なる発達段階における軸対称重力流を実験室内の小型水槽で再現した.墨汁を用いた可視化実験を行い,重力流の密度場が時間的,空間的に変動する過程を画像解析することによって,発散流と収束流が重力流の密度場に及ぼす影響について調べた. 軸対称の重力流の計算を行うため,座標軸に対して斜め方向に通過する流束成分を付加することによって,不連続面の伝播方向には依存しない等方性スキームの開発を進めた.斜め方向への伝搬が遅くなるということは回避できるようになったが,円形の密度界面を維持することはまだ難しいので,円柱座標系を用いた計算法を開発して,軸対称流が高精度で計算できるようにした. 水門開放直後,鉛直な密度界面が倒れ始める段階から,その広がり角の影響が左右非対称性となって現れ,先端部が広がる方向に相対的に薄くなることが確かめられた.その後の界面の傾きや界面の位置の時間変化は,質量,運動量,力学的エネルギーから定性的に説明できることが明らかになった.平面重力流では先端部の厚さが急激に減少するのと同時に,先端速度が減少し,粘性段階へ遷移するのに対して,広がる方向への軸対称重力流では,その先端部の厚さが初期段階から連続的に減少するため,粘生段階への遷移も相対的に早く,レイノルズ数や中心距離によって粘性の影響の大きさも変化するため,その挙動も複雑に変化すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算,実験,理論ともに,概ね,計画通りに進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,重力流の基本特性に関する知見に基づいて,ハイドロ・バリアを形成するための重力流の相互干渉とそのモデル化を行う.2つの重力流が衝突や追い越しを行う場合に,重力流の密度場がどのような影響を受けるか,どれだけエネルギーを散逸させることができるかを定量的に実験と計算によって調べる.
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Causes of Carryover |
実験機材,材料の一部の調達が,実験状況に合わせて,次年度に繰り越されたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験機材,材料の一部の調達に使用する.
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Research Products
(3 results)