2015 Fiscal Year Research-status Report
国土再編に資するマルチハザード型災害リスク指数の開発
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15K12495
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
永松 伸吾 関西大学, 社会安全学部, 教授 (90335331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 悠 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (50456141)
佐藤 慶一 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (90424192)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リスク評価 / 自然災害 / 脆弱性 / レジリエンス / ハザード / 暴露 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中長期的視点から災害リスクが軽減されるような国土利用を促す政策のあり方として、市場メカニズムにおいて災害リスクが評価される仕組みについて検討を行う。 本年度においてはまず先行研究のサーベイを行った。そこで明らかになったのは、本研究で得られた最大の知見は、災害リスク評価については大きく分けて二つの方向性があるということである。一つは、過去の災害被害のデータに基づいて実証的にリスクを評価するアプローチ(帰納的アプローチ)と、災害リスク理論に基づいて、それらにできる限り忠実に様々な統計指標を適用するアプローチ(演繹的アプローチ)である。本研究ではそれぞれのアプローチを採用してリスク評価指標の開発に取り組んでいる。 帰納的アプローチについては、過去の雨量データと災害被害データを元に、市町村別の水害被害とハザードの関係性についてパネル分析を行った。災害リスクを評価するためには暴露のデータが必要であり、このために市町村別の資本ストック量の推計を行った。第二に、どのような雨量の数値を使うかという問題がある。これらは現在試行錯誤中である。 演繹的アプローチについては、地震を対象として、首都直下地震や南海トラフ巨大地震等に対する社会経済活動の暴露状況を把握することに加え、市場メカニズムと災害リスクの関係を分析するための道具の一つとして、地震ハザードと複数の社会経済関係データを統合した暫定的な地震災害リスク指数(REDRI)を試作した。この成果は内閣府経済社会総合研究所のワーキングペーパーとして公表されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究のサーベイは完了し、それらに基づいたリスク指標の開発方針も定まっている。必要なデータの整備もほぼ完了し、試行的な計算についてもかなりの程度実施できている。後はこれらの結果を踏まえ、指標の開発にとりかかるのみとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題は次の通りである。第一に、帰納的アプローチについては、実雨量のデータからハザードデータをどのように作成するかについては検討が必要である。例えば雨量計の位置と市町村の対応関係は1対1ではないため、これをどうやって対応づけるかという点がある。加えて、雨量のデータでもどのような数値を用いるのか(最大値か、平均値か)などによって結果は異なる。これらのいくつかのパターンを分析して適切な方法を見つけ出す必要がある。さらに、地震ハザードの脆弱性について、同様の分析を行う必要があるが、地震動のハザードについては雨量以上にその扱いが困難となるため、更なる検討が必要である。 第二に、演繹的アプローチについては、指標の統合方法や指標毎のウエイトについていくつかのパターンについて試行を試みると同時に、これらの指標を元に、最も災害リスクを軽減する将来の人口配置について計算を試みる。
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Causes of Carryover |
予定していた書籍の購入について出版が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品としてプリンタトナーを購入する。同時に、昨年度購入予定の書籍も購入する。研究成果をイランで開催される学術会議(International Disaster Risk Conference, IDRC)にて発表するための海外旅費として支出する。研究成果を英文で発表するための投稿料ならびに校正料として支出する。
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