2015 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ動態を活用した革新的再生治療技術の創生
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15K12507
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雅哉 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (10332735)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マクロファージ / 細胞移動 / ピオグリタゾン / 徐放化 / ハイドロゲル / スフィンゴシン-1-リン酸レセプターアゴニスト / 細胞機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、炎症の慢性化と治癒修復化とのスイッチングで重要な役割をしているマクロファージ(Mφ)を活用した革新的再生治療技術の創生である。そのため、Mφの体内移動とその生物機能を修飾するための技術を開発する。Mφの移動を促すとともに薬を用いて慢性化Mφ(M1)に対する修復化Mφ(M2)の比率を積極的に高め、修復過程を促す。Mφの移動を高める薬であるスフィンゴシン-1-リン酸のレセプターに対するアゴニストやM2比率を高める薬であるピオグリタゾンを生体吸収性高分子ハイドロゲルから徐放化し、体内での薬の作用を高める。これによるMφの移動とM2/M1比の変化をin vitro細胞培養と動物実験にて評価する。 本年度では、まず、ポリ乳酸あるいはコレステロールを化学導入したゼラチンの疎水性誘導体を作製した。難水溶性薬であるスフィンゴシン-1-リン酸のタイプⅠレセプターのアゴニストあるいはピオグリタゾンをゼラチン誘導体と混合ミセル複合化することで薬の水可溶化を行った。次に、水可溶化Mφ修飾薬ミセル含有ハイドロゲルを動物骨髄から細胞を単離、インターロイキン刺激により分化誘導したMφとともに培養し、Mφの移動性やその機能変化について評価した。その結果、アゴニスト徐放によりMφの移動が促進され、ピオグリタゾン徐放によりM2マーカーであるアルギナーゼ分泌が高まることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、研究は予定通りに進んだ。スフィンゴシン-1-リン酸のレセプターアゴニストおよびピオグリタゾンを徐放化できるハイドロゲルの作製ができ、それらのハイドロゲルから徐放された薬がMφの移動およびM2比率の上昇などの生物活性をもつことが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度の研究成果を基に、計画通りに実験を進め動物実験を行い、再生治療と炎症学とをつなぐ新しい学問体系の構築を実現したい。
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Research Products
(2 results)