2016 Fiscal Year Research-status Report
サッケード実時間予測と高精度頭部位置・姿勢計測による中心暗点シミュレータの開発
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15K12528
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
塚田 章 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (40236849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 純一 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (10303265)
前田 義信 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90303114)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 生体シミュレーション / 中心暗点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,サッケードの初期情報からの到達視点予測,そして頭部位置・姿勢の高精度計測によって中心暗点シミュレータの実現に挑戦する.すなわち,(1)ユーザの目を高速度(500 fps)で撮影しほぼ実時間で瞳孔重心を検出できる瞳孔検出システムを開発し,サッケードの初期挙動(数ms)で視線の行き先(次の注視点)を予測し,(2)頭部の位置・姿勢を高精度で計測することにより,Head-freeで視角0.5 deg以内で注視点予測を行う中心暗点シミュレータを開発し,(3)シミュレータの定量評価によりその有効性を検証する. 本年度は,(1)視線とほぼ同時に視線の先の表示を更新できるディスプレイについて検討した.前年度検討したLEDを利用したディスプレイを制作した.通信速度やマイコンとFPGA内部の処理時間等の課題は残るが,中心暗点シミュレータとして暗点部分が遮蔽できる目途が立った.(2)頭部の位置・姿勢を高精度で計測する手法については,視覚マーカを頭部に装着しその位置姿勢を推定する予定であるが,本年度はマーカの改良を行い高精度で測定できる範囲を拡大した.(3)注視点に関する心理物理学的考察については,注視点の動きの背後にスモールワールド性を持つネットワークの存在が示唆された.実験的に探索時間が文字数の対数に比例する結果が得られたことから,注視点モデルではノード間距離がノード数の対数と等しくなるようなネットワークを推定した.そのときのクラスタ係数がランダムグラフのそれに比して大きく,有意差があることを確認した.つまり,注視点の動きは,物理的に広大な探索領域を,スモールワールドネットワークによって認知的に小さくし,探索効率を上げるような“動き”である可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ユーザの目を高速度(500 fps)で撮影しほぼ実時間で瞳孔重心を検出できるシステムについて,試用段階で制御基板でバグが見つかり,これの調査・修正に時間を要している.
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Strategy for Future Research Activity |
瞳孔検出システムの修正が完了次第,サッケードの初期挙動から終了後の視線を推定する手法の検証,ディスプレイが実際に中心暗点シミュレータとして暗点部分を遮蔽できるかの検証,これらを用いた頭部固定での中心暗点シミュレータの実験,並びに頭部を固定しないで視線を推定できる手法の検討を行う予定である.
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Causes of Carryover |
高速に瞳孔を検出するシステムにバグが見つかり,これの調査に時間を要しているため,その後予定している実験等を先送りしたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
瞳孔検出システムの修正が完了次第,サッケードの初期挙動から終了後の視線を推定する手法の検証,頭部を固定しないで視線を推定できる手法の開発を行う.また,ディスプレイの改良,これらを用いた中心暗点シミュレータの実験を行うための経費として使用する予定である.
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