2015 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア環境応答性核酸ナノ粒子の構築と細胞内微小環境の核酸科学
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15K12532
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 勇磨 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60451431)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬物送達システム / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア (Mt)のゲノム異常は、Mt脳筋症、神経変性疾患、心筋梗塞、糖尿病などの様々な疾患と関連しており、Mtを標的とする核酸医薬 (アンチセンスオリゴ核酸)が革新的治療法として注目されている。本研究では、Mt環境応答性核酸ナノ粒子搭載ドラッグデリバリーシステム (DDS)を構築し、Mt遺伝子発現制御、Mt・細胞機能を評価する。27年度は、「Mt環境応答性核酸ナノ粒子搭載DDSの構築」に関する下記の項目を中心に研究を遂行した。
①Mt環境応答性核酸ナノ粒子の構築: Mtが細胞内部で特殊環境領域(アルカリ性領域、特異的酵素反応など)を有していることに着目し、核酸ナノ粒子を形成するカチオンポリマーに環境応答性を付加したポリマーを設計した。核酸ナノ粒子はオリゴRNA核酸とMt環境応答性ポリマーを異なる比率で混合しナノ粒子の形成を試みた。粒子径と表面電位測定をベースに粒子形成を確認し、種々の検討を経てナノ粒子が形成できる条件を見出した。 ② Mt環境下における核酸放出評価: 核酸ナノ粒子をMt環境模倣溶液 (アルカリ性、負電荷分子含有)でインキュベーションした後に、ナノ粒子からの核酸放出能を評価した。本評価のために、FRET、クエンチングなどの蛍光分子イメージング法を利用したプロトコルを検討し、最適な評価方法を構築した。種々の検討を経てMt環境でオリゴ核酸を放出しやすいMt応答性核酸ナノ粒子を構築する事に成功した。 ③ Mt環境応答性核酸ナノ粒子搭載MITO-Porterの構築: Mt環境応答性核酸ナノ粒子をMITO-Porterに搭載し、粒子径・表面電位を測定し、安定した粒子構造が形成されている事を確認した。一方で、オリゴ核酸の封入率が低かったため、次年度はこの点も重要な課題点と考え検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Mt環境応答性を付加したポリマーを設計し、本ポリマーを用いたオリゴRNA核酸のナノ粒子形成に成功した。また、独自の核酸放出評価プロトコルを確立しMt環境応答性核酸ナノ粒子を調整する事に成功し、MITO-Porterへの搭載も実施した。一方で、オリゴ核酸の封入率が低かったため次年度はこの点も重要な課題点である事が明らかとなったが、ここまでに示した内容はH27年度に計画した全ての研究内容が網羅されており、研究の目的を達成する多くの成果を得ることができた。以上より、現在までの達成度は『おおむね順調に進展している』と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、『生細胞MtへのMt環境応答性核酸ナノ粒子の送達および遺伝子抑制検証』に関する研究を中心に下記に記載した計画で研究を進める予定である。
① Mt環境応答性核酸ナノ粒子の細胞内動態の最適化: キャリアの細胞取り込み能をフローサイトメトリーを利用して評価、細胞内動態は共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いて観察し、細胞取り込み能およびエンドソーム脱出効率・Mt移行能を定量的に評価しMtへの核酸ナノ粒子導入を最適化する。また、生細胞Mt環境における核酸放出過程の最適化を図る。
② 生細胞を用いたMt遺伝子抑制の検証: Mt呼吸鎖タンパク質であるCOX2コードするMt内因性mRNAを標的とするアンチセンスオリゴ核酸のナノ粒子をMt内部に導入し、その遺伝子発現抑制を検証する。定量的RT-PCRによるmRNAの定量、免疫染色法を用いた標的タンパク質の発現量を評価する。また、Mt内の膜電位を検出可能な蛍光色素JC-1を利用して評価し、Mt呼吸鎖機能を維持するCOX2がノックダウン時の膜電位が低下を評価する。これらの結果を基に、Mt応答性核酸ナノ粒子のMt内部での核酸放出制御の有用性および核酸放出とMt機能変化の関連性を解析する。
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Causes of Carryover |
研究費を節約しながら検討を進めたため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度であるため、細胞を利用した評価を実施するため、これまで以上に細胞培養用試薬などの消耗品費が必要となる。これらの消耗品費のために本未使用額を有効に活用したい。
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Research Products
(17 results)