2015 Fiscal Year Annual Research Report
重症褥瘡モデルの作製と間葉系幹細胞を用いた新規治療法の検討
Project/Area Number |
15K12537
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小野寺 光江 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (50376703)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 剣吾 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40401351)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 再生 / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度研究実施計画に沿ってマウスにおける褥瘡モデル作成および移植に使用するペリサイトに覆われた血管作成の実験を行った。 我々はまず実験的褥瘡モデルの作成を検討した。ヌードマウス(BALB/cSlc-nu/nu)の大臀筋下に直径5ミリの円形磁石を挿入し治癒期間後、同磁石を皮膚側より接着した。2時間の磁石接着後、30分間磁石を外すサイクルを4回繰り返し、この虚血再灌流を7日間行った。その結果、深い下掘れ式の軟組織欠損が観察された。 より簡略化した背部皮膚欠損モデルについても検討を行った。BALB/cマウスの背部に直径6ミリの円形の皮膚欠損を作成し、シリコンリング(外直径15ミリ、内直径8ミリ)を設置後、シリコンガーゼおよびポリウレタンフィルムによって被覆した。褥瘡治療に広く使用されているbFGFを治療の陽性対照として用いたところ、皮膚の治癒が促進される傾向を観察した。 次に、血管内皮前駆細胞とペリサイトによる強固な血管形成の前段階として、臍帯由来血管内皮細胞と間葉系幹細胞の共培養を行い細胞の接着を観察した。間葉系幹細胞はNG2やCD146などのペリサイトマーカーを発現することが確認されている。マトリゲル上で培養した血管内皮細胞は毛細血管状のネットワーク形成を示し、間葉系幹細胞はその周囲に配置されることが明らかとなった。さらに、皮膚由来線維芽細胞と比較して、間葉系幹細胞を周囲に持つ血管内皮細胞は毛細血管様の構造を長期に維持し、ペリサイト様細胞の存在が血管形成の維持に重要である事を示唆する結果を得た。 皮膚欠損の動物モデルがほぼ確立したことにより、さまざまな治療法の動物実験が可能となった。二つの系を確立した事により、治療効果のメカニズム解析が多面的に行う事ができると考えられる。また間葉系幹細胞と血管内皮細胞の接着について確認された事より、より強固な移植用血管作成の可能性が示された。
|