2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞内部温度をナノスケールで測定可能な温感性蛍光ナノプローブの開発と評価系の構築
Project/Area Number |
15K12541
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 耕一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (00436172)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノバイオ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的)未だ十分に明らかにされていない、細胞内部の温度測定による細胞内生命活動の熱力学的解明に向けた極めて価値が高く挑戦的な研究課題に取り組む。具体的には、単一細胞内部の温度を、ナノスケールの解像度で測定可能な温度応答性蛍光有機ナノ結晶(温感性蛍光ナノプローブ)の研究開発を行い、細胞内に導入し、共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用い、単一細胞内部の細胞小器官の熱力学的解析を行う。実施した研究結果で明らかになったことは、温度応答性蛍光プローブの作製において、温度応答性ポリマーと蛍光色素ナノ結晶との組み合わせは、任意に何でも良いというわけではないことである。蛍光色素の蛍光挙動として、有機溶媒中に分子状態で分散した蛍光色素は蛍光を発するが、ひとたび水中等で蛍光色素が凝集する貧溶媒系では、蛍光色素が蛍光しない現象がある。一方で、有機溶媒中の分子状態で蛍光し、かつ、ナノ結晶状態でも蛍光する有機蛍光色素が存在することも分かってきた。特に明らかになってきたことは、水中で結晶状態でも蛍光を発するような蛍光性ナノ結晶は、温度応答性ポリマーとブレンドしても水環境場での温度変化による蛍光挙動の劇的な変化を捉えることは難しいということである。おそらく元々水中でも結晶形で蛍光を発するため、温度応答性ポリマーによる温度依存的な親水・疎水環境場の影響を受けた蛍光挙動が蛍光性ナノ結晶では現れにくいためと推測している。一方で有機溶媒中では蛍光を発し、水中では消光するような有機ナノ結晶の方が、温度応答性ポリマーとのブレンドには適しており、環境場の温度の変化に伴う温度応答性ポリマー由来の疎水・親水場の影響に感応し、蛍光挙動が変化する傾向があった。これらの結果により、理想的な新規プローブへの考察を深めることができた。平成29年度では、環境温度に反応して多様な蛍光挙動を示す温度応答性蛍光プローブの実現を実施予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度の計画では、温感性蛍光ナノプローブを用いた細胞内部のリアルタイム温度測定評価を予定していたが、先立ち、細胞内部のリアルタイム温度測定評価系の構築について十分な検証と整理も必要と考えており平成29年度においても引き続き研究課題の遂行が必要な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の計画では、温感性蛍光ナノプローブを用いた細胞内部のリアルタイム温度測定評価を予定していたが、先立ち、細胞内部のリアルタイム温度測定評価系の構築について十分な検証と整理も必要と考えている。従って平成29年度には、当初計画の目標を達成できるために必要な実験を追加し、その成果について学会参加や論文投稿を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度の計画では、温感性蛍光ナノプローブを用いた細胞内部のリアルタイム温度測定評価を予定していたが、先立ち、細胞内部のリアルタイム温度測定評価系の構築について十分な検証と整理も必要と考えている。従って平成29年度には、当初計画の目標を達成できるために必要な実験を追加し、その成果について学会参加や論文投稿を実施する予定である。そのためこれらの課題の遂行のために経費が必要であり、平成29年度において経費を使用予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度において、温感性蛍光ナノプローブの再構築と細胞内部の温度応答的蛍光イメージングの実施及びその成果について学会参加や論文投稿を予定している。このために必要な経費を平成29年度で使用予定である。
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