2015 Fiscal Year Research-status Report
ハニカム状フィルムを支持体とした多細胞型人工脂質膜の創製
Project/Area Number |
15K12546
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
松村 一成 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (10348899)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | リン脂質 / 二分子膜 / 自己組織化 / ハニカム構造 / グラミシジン / 希土類金属錯体 / 蛍光修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に以下の3点の研究課題に取り組んだ 1.多細胞型人工脂質膜の支持体である高分子ハニカムフィルムを直径4mmの銅板メッシュと一体形成する手法を確立した。これは高分子ハニカム自身に対する更なる支持体として系の機械的強度を上げる事と、メッシュにてハニカム構造を区画化することで物質移動や観察対象の単位として用いる事を狙ったものである。メッシュ上に高分子溶液をキャストしハニカムを自己組織的に生成させた後に余分な部分を剥離除去することで目的の構造体を得ることが出来た。さらに1MeVのプロトンビームを照射することにより二次加工も可能であることが確認された。 2.多細胞型脂質膜中に導入したグラミシジン(イオノフォアの一種)のイオン透過能を追跡する手法に発展させるために、まず単独のリポソームに導入したグラミシジンのイオン透過能を定量する手法を開発した。リポソーム内包部に導入したpH指示薬であるピラニンを用いて評価するという手法自体は既報のものであるが、回帰分析によって速度因子を良好に定量することができた。測定はリポソームに対して非破壊的であり、3回程度の繰返し性を持つ。 3.リン脂質膜の蛍光修飾手段として新たに長鎖アルキル基を導入した希土類錯体を分子設計・合成し、リポソーム導入効率を測定した。合成は長鎖アルデヒドから得たジアミン経て鋳型縮合をすることで達成された。長鎖アルキル基を持たない類似体に比べ高いリポソーム導入効率を持つことも確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で説明した課題1は最終目標である多細胞型人工脂質膜の作成・観察を容易にし、本研究課題全体の進捗を前進させるものと考えている。ただし、ハニカム上に形成した脂質膜の膜容量を測定して二分子膜形成を確認するという段階には至らず、期待通りの進捗が得られない部分も存在している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ハニカムフィルム内への人工脂質膜の作成手法をより洗練させる事、今年度不首尾に終わったハニカム内脂質膜の電気的測定手法を改善する事、酵素固定化したビーズを利用して局所的な小胞内酵素反応を実行・確認する事などを行うことで研究全体を推進させていきたい。
|
Causes of Carryover |
今年度と次年度にまたがって使用するクロマトグラフィーの部品を更新しようとしたが、今年度の残額では費用がまかなえないため、次年度分と合算して購入することにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の部品を購入するために消耗品費として予算執行する予定である。
|