2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K12564
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
長山 好夫 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (10126138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 敏文 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20452873)
山口 聡一朗 関西大学, システム理工学部, 准教授 (30413991)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マンモグラフィ / マイクロ波 / イメージング / CT / 逆問題 / FBTS / DiLDAS / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロ波CTを用いると、「痛くない、被爆しない」マンモグラフィを実現でき、若年女性の乳がん検診が普及することが期待される。これまでForward Backward Time Stepping method(FBTS)法などのマイクロ波CTソフトウェアの開発が先行し、測定装置がなかった。本研究者たちは最近、静電シールドされた誘電体積層ダイポールアンテナ(DiLDAS)を開発した。これを用いることでFBTS法が適用できる測定装置を実現できる。本研究の目的は、DiLDASを用いて実機に近い形の測定装置を開発し、FBTS法でCT像再生を行うことで、世界で初めての乳がん検診用マイクロ波CTプロトタイプ実験を行うことである。 平成27年度では以下のことを行った。乳房用マイクロ波CT測定ヘッドを開発した。これは、中央部には乳房を密着するための半球形凹みがあり、外周部にDiLDASを密着設置するものである。乳房表面での反射を減らすため脂肪組織とほぼ同じ誘電率を持つ繊維強化プラスチック(FRP)製である。また、マイクロ波発生器(シンセサイザ)とデータ収集装置をコンピュータで制御するCT運転システムを開発した。DiLDASを核融合プラズマ計測用マイクロ波イメージングシステムに接続し、全チャンネル同時受信するマイクロ波CTマンモグラフィのプロトタイプ1号機を開発した。 測定対象として、硬化牛脂に高誘電率のジルコニウム小球を入れたファントムを製作し、マイクロ波CT実験を行った。まだ、CT像再生は行っていないが、誘電体小球による散乱波は直交する偏波の高周波側で顕著になることが分かるなど、研究開発の方向が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ波CTマンモグラフィ実験装置を製作し,運転、実験したので、FBTS計算コードによる画像再構成には至っていないが、計画は初年度の予定通りで進行している。実験の結果以下の課題が見いだされた。(1)測定周波数領域の改善(1-6GHz)、(2)低周波の位相特性の改善、(3)位相検出器のシンセサイザによる周波数スキャンへの対応、(4)DiLDASの発熱、(5)運転時間の短縮化。ただし本研究の年度内にこれらは解決可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の課題を平成28年度早々に以下のように解決する。(1)受信用DiLDAS内蔵のミキサを交換する、(2)DiLDASの電極形状を変え、低周波性能を改善する、(3)周波数スキャンに対応可能な新型位相検波器に交換する、(4)発熱するアンプをDiLDASの外に出す、(5)制御プログラムを改善する。これらは開発要素があるので、性能試験を繰り返し、満足できるものを量産する。6月を目標にハードウェアの改修を行い、7月に実験を再開する。9月にはFBTS法による画像再生を行いたい。
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Causes of Carryover |
実験の結果見いだされた改善点について、平成27年度末に研究開発を開始した。研究開発の結果を待って購入物品を決めるべく、あえて次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度初めに平成28年度予算と合算して物品購入に充てる予定である。購入物品については現在遂行中の研究開発の試験結果により決定する。
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